町が新庁舎竣工式に際し来賓148人に記念品として1人当たり5000円相当の商品券を贈呈したことは,上記来賓が新庁舎の建設に尽力したなどの事情から招待された者であり,上記商品券が町商工会の発行した町内の商店のみで利用することができるもので,そのために支出された費用が74万円にとどまったなど原判示の事実関係の下においては,社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものとまではいえず,上記公金の支出は違法ではない。
町が新庁舎竣工式に際し来賓に記念品として1人当たり5000円相当の商品券を贈呈するために行った公金の支出が違法ではないとされた事例
地方自治法(平成11年法律第87号による改正前のもの)2条2項,地方自治法(平成11年法律第87号による改正前のもの)232条1項,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項
判旨
普通地方公共団体が記念行事等に際して来賓に記念品を贈呈することは、社会通念上儀礼の範囲にとどまる限り許容される。本件の新庁舎竣工式における5000円相当の商品券贈呈は、来賓の属性や支出総額等に照らし、儀礼の範囲内として適法である。
問題の所在(論点)
町長による新庁舎竣工式の記念品購入費用の支出命令が、社会通念上儀礼の範囲を逸脱し、地方自治法上の違法な公金の支出にあたるか。
規範
普通地方公共団体も社会的実体として活動する以上、記念行事等に際して来賓等に記念品等の贈呈を行うことは、それが「社会通念上儀礼の範囲にとどまる限り」許される。その判断にあたっては、贈呈の趣旨、来賓の属性、記念品の内容・価額、支出の総額、自治体の規模等の諸事情を総合考慮すべきである。
重要事実
滋賀県a町の町長である上告人は、新庁舎竣工式において、建設尽力者、町民代表、関係自治体代表などの来賓148名に対し、1人あたり5000円相当の商品券(町内限定で使用可能)を贈呈した。この費用として計74万円を公金から支出した。住民である被上告人が、当該支出は公金の違法な支出であるとして、地方自治法に基づき損害賠償を求めた。
事件番号: 平成17(行ヒ)304 / 裁判年月日: 平成20年1月18日 / 結論: 破棄差戻
普通地方公共団体が,土地開発公社との間で締結した土地の先行取得の委託契約に基づく義務の履行として,当該土地開発公社が取得した当該土地を買い取る売買契約を締結する場合であっても,次の(1)又は(2)のときには,当該売買契約の締結は違法となる。 (1) 上記委託契約を締結した普通地方公共団体の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱…
あてはめ
まず、贈呈の趣旨は、新庁舎の完成を祝し、建設尽力者等の来賓に対し感謝の意を表するものであり正当である。次に、来賓148名は、町への貢献度や公的な立場に基づき招待された者であり、贈呈対象の選定に合理性がある。さらに、記念品は5000円相当の商品券であるが、町内限定で利用可能な地域振興的性格を帯びたものであり、支出総額74万円も町の人口規模等に照らせば多額とはいえない。以上より、本件贈呈は社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものとはいえない。
結論
本件記念品贈呈のための公金支出は適法であり、上告人(町長)は損害賠償義務を負わない。
実務上の射程
自治体の寄附的支出(交際費等)の適法性判断におけるリーディングケース。住民訴訟において、当該支出が「儀礼の範囲内」か否かを検討する際の考慮要素を具体的に示しており、金額の妥当性だけでなく、対象者の公的性格や地域限定性といった事情が肯定的に評価される点に実務上の指針がある。
事件番号: 平成21(行ヒ)162 / 裁判年月日: 平成21年12月17日 / 結論: 破棄自判
市が土地開発公社に対し土地の先行取得を委託する契約が,私法上無効とはいえず,また市にその取消権又は解除権があるとはいえないものの,著しく合理性を欠き,そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する場合であっても,次の(1),(2)など判示の事情の下では,客観的にみて市が上記委託契約を解消すること…
事件番号: 平成15(行ヒ)299 / 裁判年月日: 平成18年1月19日 / 結論: その他
県が,県議会議員の職にあった者の功労に報いるとともにその者らに引き続き県政の発展に寄与してもらう趣旨で,その者らのうち会則の趣旨に賛同する者を会員とする元県議会議員会の事業を補助するために補助金を交付した場合において,同補助金の対象となった事業がいずれも同会の会員を対象とした内部的な行事等であってその事業自体に公益性を…
事件番号: 平成22(行ヒ)136 / 裁判年月日: 平成24年4月23日 / 結論: 破棄差戻
1 住民訴訟の対象とされている普通地方公共団体の損害賠償請求権を放棄する旨の議会の議決がされた場合において,当該請求権の発生原因である公金の支出等の財務会計行為等の性質,内容,原因,経緯及び影響(その違法事由の性格や当該職員の帰責性等を含む。),当該議決の趣旨及び経緯,当該請求権の放棄又は行使の影響,住民訴訟の係属の有…
事件番号: 平成21(行ヒ)234 / 裁判年月日: 平成22年2月23日 / 結論: その他
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,次の1,2など判示の事情の下では,上記の承認は,会派の名において議員の発案,申請に係…