1 病院の開設が計画されている医療圏における既存の一般病床(病院の病床で精神病床,伝染病床及び結核病床以外のもの)数が医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の3に基づく県の医療計画所定の必要病床数を超え病院開設の必要を認めないとの理由で,同法30条の7に基づく病院の開設中止の勧告を受けた者が,これに従わずに病院を開設した場合は,健康保険法(平成10年法律第109号による改正前のもの)にいう「其ノ他保険医療機関若ハ保険薬局トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」に当たる。 2 病院の開設が計画されている医療圏における既存の一般病床(病院の病床で精神病床,伝染病床及び結核病床以外のもの)数が医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の3に基づく県の医療計画所定の必要病床数を超え病院開設の必要を認めないとの理由で,同法30条の7に基づく病院の開設中止の勧告を受けた者が,これに従わずに病院を開設した病院について,健康保険法(平成10年法律第109号による改正前のもの)43条ノ3第2項にいう「其ノ他保険医療機関若ハ保険薬局トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」に当たるとして保険医療機関の指定を拒否することは,憲法22条1項に違反しない。
1 病床過剰地域であることを理由としてされた医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の7に基づく病院開設中止の勧告に従わずに病院が開設された場合と健康保険法(平成10年法律第109号による改正前のもの)43条ノ3第2項にいう「其ノ他保険医療機関若ハ保険薬局トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」 2 病床過剰地域であることを理由としてされた医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の7に基づく病院開設中止の勧告に従わずに開設された病院について健康保険法(平成10年法律第109号による改正前のもの)43条ノ3第2項に基づき保険医療機関の指定を拒否することと憲法22条1項
健康保険法(平成10年法律第109号による改正前のもの)43条ノ3第2項,医療法(平成9法律第125号による改正前のもの)30条の3,医療法(平成9法律第125号による改正前のもの)30条の7,憲法22条1項
判旨
医療法上の病床過剰地域における開設中止勧告に従わず開設された病院につき、健康保険法上の保険医療機関の指定を拒否することは、医療保険運営の効率化という観点から「著しく不適当と認むるもの」に該当し、憲法22条1項にも違反しない。
問題の所在(論点)
医療法上の開設中止勧告に従わずになされた保険医療機関の指定申請を、旧健康保険法43条ノ3第2項の「著しく不適当」として拒否することが許されるか。また、かかる運用が憲法22条1項(職業の自由)に違反しないか。
規範
健康保険法(旧法)43条ノ3第2項にいう「其ノ他保険医療機関……トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」とは、医療保険の運営の効率化という観点からみて著しく不適当と認められる事由がある場合を含むと解すべきである。また、医療計画上の必要病床数を超えて開設された病院を保険医療機関に指定することは、不必要又は過剰な医療費を発生させ、医療保険運営の効率化を阻害するおそれがある。したがって、公共の福祉に適合する目的のために行われる必要かつ合理的な措置といえるため、同規定を適用した指定拒否は憲法22条1項に違反しない。
重要事実
上告人は、病床数が過剰(330床超過)な保健医療圏において、104床の病院開設を申請した。鹿児島県知事は、医療法30条の7に基づき、病床過剰地域であり開設の必要がないとして「開設中止」を勧告したが、上告人はこれに従わず開設を強行した。上告人が本件病院につき保険医療機関の指定を申請したところ、知事は旧健康保険法43条ノ3第2項の拒否事由(著しく不適当)に該当するとして、指定拒否処分を行った。
あてはめ
医療の分野では供給が需要を生む傾向があり、人口当たりの病床数増加が1人当たりの入院費増大と相関する。本件病院が所在する地域は、医療計画上すでに必要病床数を大幅に上回る病床過剰地域であった。このような状況下で、良質かつ適切な医療を効率的に提供するためになされた開設中止勧告に従わずに開設された病院を保険医療機関に指定することは、医療保険運営の効率化を阻害する事態を生じさせる蓋然性が高い。したがって、本件処分は「著しく不適当」な場合に該当し、適法である。また、この制限は医療制度の適正化という公共の福祉に基づく合理的な制約であり、憲法22条1項に抵触しない。
結論
本件処分は健康保険法43条ノ3第2項に違反せず、また憲法22条1項にも違反しないため、適法である。
実務上の射程
行政法における「他法規との連携・目的の充足」を論ずる際の重要判例。医療法(適正な医療体制確保)と健康保険法(医療保険運営の効率化)の目的が重なる場面で、一方の行政指導(勧告)への不服従を他方の不利益処分の要件として読み込むことの合理性を肯定している。憲法上は、社会経済的規制として「目的が正当で、手段が著しく不合理でない」という緩やかな審査基準を背景とした判断と解される。
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。
事件番号: 平成17(行ヒ)390 / 裁判年月日: 平成19年10月19日 / 結論: 棄却
医療法(平成18年法律第84号による改正前のもの)7条に基づく病院の開設許可の取消訴訟につき,同病院の開設地の市又はその付近において医療施設を開設し医療行為をする医療法人,社会福祉法人及び医師並びに同市内の医師等の構成する医師会は,原告適格を有しない。
事件番号: 昭和59(行ツ)276 / 裁判年月日: 昭和63年7月14日 / 結論: 破棄自判
一 裁判所が公益法人設立の不許可処分の適否を審査するに当たつては、主務官庁が一定の事実を基礎として不許可を相当とするとの結論に至つた判断過程に一応の合理性があることを否定できないのであれば、特段の事情がない限り、右不許可処分には裁量権の範囲を超え又はそれを濫用した違法があるということはできない。 二 東京都の一区内にお…