1 県知事及び県議会議長が即位礼正殿の儀に参列した行為は,即位礼正殿の儀が皇室典範24条の規定する即位の礼の一部を構成する伝統的な皇位継承儀式であること,参列が公職にある者の社会的儀礼として他の参列者と共に天皇の即位に祝意を表する目的で行われたことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。 2 県議会議長が大嘗祭に参列した行為は,大嘗祭が即位の礼に際しての皇室の伝統儀式であること,参列が公職にある者の社会的儀礼として他の参列者と共に天皇の即位に祝意を表する目的で行われたことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。
1 県知事及び県議会議長が即位礼正殿の儀に参列した行為が憲法20条3項に違反しないとされた事例 2 県議会議長が大嘗祭に参列した行為が憲法20条3項に違反しないとされた事例
憲法20条, 皇室典範24条
判旨
神奈川県知事及び県議会議長が天皇の即位礼正殿の儀及び大嘗宮の儀に参列した行為は、その目的が社会的儀礼に留まり、特定の宗教を援助・助長する効果を持たないため、憲法20条3項の禁止する宗教的活動に当たらない。
問題の所在(論点)
地方公共団体の長や議会の議長が、皇位継承に伴う儀式(即位礼正殿の儀・大嘗宮の儀)に参列する行為が、憲法20条3項で禁止される「宗教的活動」に該当するか。
規範
憲法20条3項にいう「宗教的活動」とは、当該行為の目的が宗教的意義を有し、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為を指す。この判断に当たっては、当該行為の外形的側面のみならず、行為の場所、一般人の宗教的評価、行為者の意図・目的、宗教的意義の有無、一般人に与える影響等の諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして客観的に判断すべきである(目的効果基準)。
重要事実
神奈川県知事及び同県議会議長(当時)が、天皇の即位に際して行われた「即位礼正殿の儀」に参列した。また、県議会議長は、大嘗祭の一部を構成する「大嘗宮の儀」にも参列した。これらの儀式は皇位継承に伴う伝統的な儀式として行われ、参列者は三権の長、国務大臣、各地方公共団体の代表者など多岐にわたっていた。これに対し、公金を用いた参列が政教分離原則に反するとして、公金支出の是非等が争われた。
事件番号: 平成11(行ツ)77 / 裁判年月日: 平成14年7月9日 / 結論: その他
知事,副知事及び県農政部長が県内で行われた主基Dの儀に参列した行為は,主基Dの儀が皇位継承の際に通常行われてきた皇室の伝統儀式である大嘗祭の一部を構成する一連の儀式の一つであること,他の参列者と共に参列して拝礼したにとどまること,参列が公職にある者の社会的儀礼として天皇の即位に祝意,敬意を表する目的で行われたことなど判…
あてはめ
まず、参列の目的は、憲法上の象徴である天皇の即位に対し、地方公共団体の代表者としての職務上の社会的儀礼を尽くすことにあり、専ら世俗的なものである。次に、その効果についても、三権の長や国務大臣等と並んで参列するものであり、特定の宗教を援助・助長・促進したり、他の宗教を圧迫・干渉したりするものとは認められない。儀式自体に宗教的側面が含まれるとしても、公職者が儀礼的に参列する行為は、社会通念に照らし特定の宗教との関わりが許容される限度を超えないものと評価される。
結論
本件各儀式への参列行為は、憲法20条3項により禁止される宗教的活動には当たらない。
実務上の射程
津地鎮祭訴訟の「目的効果基準」を皇室儀式への参列について適用した事例である。本判決は「即位礼正殿の儀」だけでなく、宗教的色彩がより強いとされる「大嘗宮の儀」への参列についても、公職者の社会的儀礼としての側面を重視し、合憲の枠内にあることを示した点に実務上の意義がある。
事件番号: 平成11(行ツ)93 / 裁判年月日: 平成14年7月11日 / 結論: 棄却
知事が大嘗祭に参列した行為は,大嘗祭が皇位継承の際に通常行われてきた皇室の伝統儀式であること,他の参列者と共に参列して拝礼したにとどまること,参列が公職にある者の社会的儀礼として天皇の即位に祝意を表する目的で行われたことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。
事件番号: 平成20(行ツ)202 / 裁判年月日: 平成22年7月22日 / 結論: 破棄自判
神社の鎮座2100年を記念する大祭に係る諸事業の奉賛を目的とする団体の発会式に地元の市長が出席して祝辞を述べた行為は,地元にとって,上記神社が重要な観光資源としての側面を有し,上記大祭が観光上重要な行事であったこと,上記団体はこのような性質を有する行事としての大祭に係る諸事業の奉賛を目的とするもので,その事業自体が観光…