昭和13年に旧都市計画法(昭和43年法律第100号による廃止前のもの)3条に基づき決定された都市計画に係る計画道路の区域内にその一部が含まれる土地が,当初は市街地建築物法の規定に基づき,後に建築基準法(昭和43年法律第101号による改正前のもの)44条2項に基づいて建築物の建築等の制限を課せられ,現に都市計画法53条に基づく建築物の建築の制限を受けているが,同法54条の基準による都道府県知事の許可を得て建築物を建築することや土地を処分することは可能であることなど原判示の事情の下においては,これらの制限を超える建築物の建築をして上記土地を含む一団の土地を使用することができないことによる損失について,その共有持分権者が直接憲法29条3項を根拠として補償請求をすることはできない。 (補足意見がある。)
昭和13年に決定された都市計画に係る計画道路の区域内にその一部が含まれる土地に建築物の建築の制限が課せられることによる損失について憲法29条3項に基づく補償請求をすることができないとされた事例
都市計画法53条,旧都市計画法(昭和43年法律第100号による廃止前のもの)3条,市街地建築物法7条,市街地建築物法9条,市街地建築物法26条,市街地建築物法施行令30条,建築基準法(昭和43年法律第101号による改正前のもの)44条2項,憲法29条3項
判旨
都市計画法に基づく建築制限が長期間にわたる場合であっても、制限の内容が緩やかであり、土地の本来的な利用可能性を著しく阻害していない限り、憲法29条3項の「特別の犠牲」には当たらず、損失補償は不要である。
問題の所在(論点)
都市計画法53条による建築制限が60年以上の長期間に及ぶ場合、その制限は憲法29条3項にいう「特別の犠牲」に当たり、補償が必要となるか。
規範
特定の個人に対し、一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲を超えて、財産権の本質的内容を侵害し、またはその財産権の利用を著しく妨げるような「特別の犠牲」を課した場合には、憲法29条3項に基づき直接補償を請求することができる。その判断に際しては、制限の態様、目的のみならず、制限が継続する期間や、当該土地の本来的な用途・利用状況等の具体的事情を総合的に考慮すべきである。
事件番号: 平成17(行ヒ)397 / 裁判年月日: 平成20年9月10日 / 結論: 破棄自判
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 (補足意見及び意見がある。)
重要事実
上告人らは、都市計画道路の区域内に含まれる本件土地の共有持分権者であった。当該土地には、昭和13年の決定以来、60年以上の長期間にわたり、都市計画法53条等に基づく建築制限(木造2階建て以下等、容易に撤去可能なものに限定される制限)が課されていた。上告人らは、この制限により高度な土地利用ができず損失を被ったとして、憲法29条3項に基づき損失補償を求めた。
あてはめ
本件では、制限の内容は木造2階建て以下の建築であれば許可される等、建築一般を禁止するものではない。また、対象土地は第1種住居地域にあり、高度な土地利用が予定されていた地域ではない。さらに、制限区域は一団の土地の約4分の1に留まり、残余部分を含めた容積率・建ぺい率の範囲内で相当な建築が可能であった。このような具体的事情に照らせば、制限が60年超という長期間にわたることを考慮しても、なお受忍限度の範囲内であり、特別の犠牲を課されたとはいえないと評価される。
結論
本件建築制限は「特別の犠牲」には当たらず、憲法29条3項に基づく直接の補償請求は認められない。
実務上の射程
公用制限が長期化した場合の補償の要否を判断するリーディングケース。答案では、単に期間の長さだけでなく、制限の強度(建築可能な建物の態様)や土地の本来的な利用目的、全体的な土地利用への影響を相関的に考慮する判断枠組みとして活用する。
事件番号: 昭和49(行ツ)88 / 裁判年月日: 昭和50年3月13日 / 結論: 棄却
公共のためにする財産権の制限が社会生活上一般に受忍すべきものとされる限度をこえ、特定の人に対し特別の財産上の犠牲を強いるものである場合には、これについて損失補償に関する規定がなくても、直接憲法二九条三項を根拠にして、補償請求をすることができないわけではない。
事件番号: 平成16(行ヒ)114 / 裁判年月日: 平成18年11月2日 / 結論: 棄却
都知事が都市高速鉄道に係る都市計画の変更を行うに際し鉄道の構造として高架式を採用した場合において,(1)都知事が,建設省の定めた連続立体交差事業調査要綱に基づく調査の結果を踏まえ,上記鉄道の構造について,高架式,高架式と地下式の併用,地下式の三つの方式を想定して事業費等の比較検討をした結果,高架式が優れていると評価し,…