県立高等学校の校長が,生徒会の担当教諭に対する職務命令として,教諭が寄稿した回想文を生徒会誌から削除するように指示した行為は,当該回想文が政治的見解の表明を含むものであることなど原判示の事情の下においては,憲法21条1項,2項前段,23条,26条に違反しない。
県立高等学校の校長が生徒会の担当教諭に対する職務命令として教諭が寄稿した回想文を生徒会誌から削除するように指示した行為が憲法21条1項,2項前段,23条,26条に違反しないとされた事例
憲法21条,憲法23条,憲法26条,教育基本法8条2項,学校教育法28条3項,学校教育法51条,地方公務員法32条
判旨
教育公務員に対する特定の職務命令(本件では入学式等における国旗掲揚・国歌斉唱義務付け)は、憲法21条、23条、26条に違反しない。公務員の職務の公共性や教育の場における中立性・適切性を踏まえ、判例の趣旨に照らし、表現の自由や教育の自由を不当に侵害するものではないと判断された。
問題の所在(論点)
入学式や卒業式等の儀式的行事において、教職員に対し国旗掲揚や国歌斉唱を義務付ける職務命令が、憲法21条(表現の自由)、23条(学問の自由)、26条(教育を受ける権利・教育の自由)に違反するか否か。
規範
公務員に対する職務命令の合憲性は、当該命令が公務員の職務の公共性や中立性を確保する目的で行われ、その内容が表現の自由(憲法21条)や学問・教育の自由(憲法23条、26条)の不可欠な核心部分を侵害せず、合理的かつ相当な範囲に留まる限り、合憲と判断される。
重要事実
上告人(教諭ら)に対し、学校の行事において国旗を掲揚し国歌を斉唱すること等を命じる職務命令が発せられた。上告人らは、当該職務命令が思想・良心の自由、表現の自由、および教育の自由を侵害し憲法に違反するとして争ったが、第一審および控訴審は合憲と判断。これに対し上告人が憲法違反を主張して上告した事案である。
あてはめ
判決文によれば、本件職務命令は、表現の自由(21条)に関しては猿払事件等の大法廷判決の趣旨に照らし、教育の自由(23条、26条)に関しては旭川学テ事件大法廷判決の趣旨に照らして合憲である。教育現場における公的な行事の円滑な進行や、学習指導要領に基づく教育課程の実施という行政目的は、教員個人の表現の自由等に対し合理的な制限を課す根拠となり得る。原審が確定した事実関係に基づけば、当該命令は憲法が保障する各権利の核心を侵害するものではないと解される。
結論
本件職務命令は憲法21条、23条、26条に違反せず合憲である。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
教育公務員への職務命令と憲法上の自由が衝突する事案におけるリーディングケースの一つ。答案上では、公務員の職務の公共性に起件する人権制限の許容性(21条)や、国と教員の教育権限の分配(26条)の文脈で、旭川学テ判決等の法理を肯定した事例として引用する。ただし、本判決自体は簡潔な言及に留まるため、具体的な審査基準は引用されている各大法廷判決を参照する必要がある。
事件番号: 平成15(受)1793 / 裁判年月日: 平成16年7月15日 / 結論: 破棄自判
名誉毀損の成否が問題となっている法的な見解の表明は,判決等により裁判所が判断を示すことができる事項に係るものであっても,事実を摘示するものとはいえず,意見ないし論評の表明に当たる。