文書提出命令の申立てを却下する決定に対し口頭弁論終結後にされた即時抗告は,不適法である。
文書提出命令申立て却下決定に対する口頭弁論終結後の即時抗告の適否
民訴法223条4項
判旨
受訴裁判所が文書提出命令の申立てを却下し、即時抗告前に口頭弁論を終結させた場合、当該審級で証拠調べをする余地がなくなるため、その後の即時抗告は不適法となる。
問題の所在(論点)
文書提出命令の申立てを却下する決定に対し、即時抗告の提起前に本案の口頭弁論が終結した場合、当該即時抗告の適法性は認められるか。即時抗告の利益の有無が問題となる。
規範
文書提出命令の申立てを却下する決定に対し、口頭弁論終結後にされた即時抗告は不適法である。なぜなら、口頭弁論が終結した以上、当該審級において申立てに係る文書の証拠調べを行う余地が消失しているからである。この場合、当該却下決定は終局判決前の裁判として、民事訴訟法283条本文により控訴審の判断に服することを通じて救済が図られる。
重要事実
受訴裁判所に対し文書提出命令の申立てがなされたが、裁判所はこれを却下する決定を行った。その後、申立人が即時抗告を提起する前に、裁判所は本案の口頭弁論を終結させた。申立人は口頭弁論終結後に当該却下決定を不服として即時抗告を申し立てた。
事件番号: 平成11(許)36 / 裁判年月日: 平成12年12月14日 / 結論: 却下
文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は抗告の利益を有しない。
あてはめ
本件では、受訴裁判所が却下決定を下した後に口頭弁論を終結させている。この時点において、第一審における証拠調べの段階は終了しており、もはや提出を求めていた文書を当該審級の証拠として利用する可能性は失われている。したがって、即時抗告によって却下決定を取り消す実益(訴訟上の利益)は失われたといえる。もっとも、不服がある当事者は控訴審において民訴法283条に基づき当該決定の当否を争うことが可能であり、手続的保障は確保されている。
結論
口頭弁論終結後の即時抗告は不適法として却下される。却下決定の当否は控訴審において争うべきである。
実務上の射程
文書提出命令のみならず、証拠調べに関する中間的な決定全般の即時抗告において、口頭弁論終結が「抗告の利益」を消滅させる画期となることを示す射程を持つ。答案上は、決定に対する独立した不服申立ての可否を論じる際、審級の進行状況に着目して論じる必要がある。
事件番号: 平成15(許)40 / 裁判年月日: 平成16年5月25日 / 結論: 破棄自判
1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書について文書提出命令の申立てがされた場合であっても,当該文書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当し,かつ,当該文書の保管者によるその提出の拒否が,民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が開示されることによる被告人,被疑者等…
事件番号: 平成13(許)15 / 裁判年月日: 平成13年12月7日 / 結論: 棄却
信用組合の作成した貸出稟議書の所持者は,預金保険機構から委託を受け,同機構に代わって,破たんした金融機関等からその資産を買い取り,その管理及び処分を行うことを主な業務とする株式会社であり,経営が破たんした信用組合からその営業の全部を譲り受けたことに伴い,貸出稟議書を所持するに至ったものであること,その信用組合は,清算中…
事件番号: 平成11(許)20 / 裁判年月日: 平成12年3月10日 / 結論: その他
一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。 二 民訴法一九七条一項三号所定の「技術又は職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの又は当該職業…
事件番号: 平成23(行ト)42 / 裁判年月日: 平成23年10月11日 / 結論: 棄却
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