1 地方税法73条の21第2項に規定する不動産についてされた不動産取得税の賦課決定は,同項に基づき固定資産評価基準によって決定されたその課税標準となるべき価格が同法73条5号にいう適正な時価を上回る場合には,違法となる。 2 地方税法73条の21第2項に規定する不動産について同項により決定されるべき「不動産取得税の課税標準となるべき価格」すなわち,当該不動産を取得した時における適正な時価とは,その時における客観的な交換価値をいう。
1 地方税法73条の21第2項に規定する不動産について決定された不動産取得税の課税標準となるべき価格がその適正な時価を上回る場合における不動産取得税の賦課決定の適否 2 地方税法73条の21第2項により決定されるべき「不動産取得税の課税標準となるべき価格」の意義
地方税法73条5号,地方税法73条の13第1項,地方税法73条の21第1項,地方税法73条の21第2項,地方税法(平成11年法律第87号による改正前のもの)388条1項
判旨
不動産取得税の課税標準となる不動産の価格とは、客観的な交換価値(適正な時価)を指し、地方税法所定の評価基準等に従い決定された価格であっても、それが客観的な交換価値を上回る場合は違法となる。また、固定資産課税台帳に価格が登録されていない不動産については、納税者は賦課決定に際して当該価格が適正な時価を上回ることを主張して争うことができる。
問題の所在(論点)
地方税法73条21項2項に基づき、評価基準等に従って決定された不動産取得税の課税標準たる「不動産の価格」が、客観的な交換価値を上回る場合に、当該決定は違法となるか。また、納税者はその価格の適否を争うことができるか。
規範
1. 地方税法73条21項2項により決定される不動産の価格とは、正常な条件の下に成立する取得時における取引価格、すなわち「客観的な交換価値(適正な時価)」をいう。 2. 固定資産評価基準等は適正な時価を算定するための合理的方法であるが、これに従って決定された価格が客観的な交換価値を上回る場合には、当該価格の決定は違法となる。 3. 固定資産課税台帳に価格が登録されていない不動産等の賦課決定において、納税者は決定された価格が適正な時価を上回ることを理由に、その適否を争うことができる。
事件番号: 平成4(行ツ)196 / 裁判年月日: 平成6年4月21日 / 結論: 破棄自判
地方税法七三条の二一第一項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」とは、当該不動産につき、固定資産税の賦課期日後に増築、改築、損壊、地目の変換その他特別の事情が生じ、その結果、固定資産課税台帳に登録された価格が当該不動産の適正な時価を示しているものということができないため、右登録価格を不動産取得税の課税標準と…
重要事実
被上告人は、平成10年に急傾斜地(斜度30〜40度)に位置する本件土地を取得した。本件土地が所在する別荘地は開発から30年経過し電気・水道は整備されていたが、バブル崩壊後は利用が極めて低調であった。処分庁は、固定資産評価基準等に基づき、近隣の標準宅地の鑑定評価額を基礎として、伐採経費等を控除する手法で本件土地の価格を算定し、不動産取得税の賦課決定を行った。これに対し被上告人は、当該価格は土地の現況(急傾斜等)を無視した不当な評価であり適正な時価を上回るとして、処分の取消しを求めた。
あてはめ
1. 課税標準となる「不動産の価格」の意義について、法は固定資産税における価格と同義に解しており、その実体は「客観的な交換価値」である。評価基準等はあくまでこれを算定する手段に過ぎないため、手段により導き出された数値が実体たる交換価値を超過すれば、法の趣旨に反し違法となる。 2. 本件土地は30度から40度に達する急傾斜地であり、これは客観的交換価値を著しく低下させる要因である。評価基準等に基づく比準計算において、傾斜の状況や土留め工事の必要性といった価格形成に有意な影響を及ぼす事実が適切に考慮されていないのであれば、算出された価格が適正な時価を上回る可能性がある。 3. 原審が示した独自の計算式(利用率に基づく平均化)は合理性を欠くが、処分庁の算定も土地の現況を十分に反映していない疑いがある。
結論
評価基準等に基づき決定された価格であっても、客観的な交換価値を上回る場合は違法となる。本件土地の現況(急傾斜等)が価格に適切に反映されているかを審理させるため、原判決を破棄し差し戻す。
実務上の射程
不動産取得税の課税標準に関するリーディングケース。答案では、課税処分の違法性を論じる際、評価基準の形式的妥当性だけでなく、「適正な時価(客観的交換価値)の超過」という実質的違法性を主張する際の根拠として用いる。特に、固定資産課税台帳に価格がない場合の争訟可能性の論拠としても重要である。
事件番号: 昭和40(行ツ)12 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 棄却
不動産を等価交換により取得した場合も、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 参照 (一審判決、東京地裁昭和三八年一二月二八日、行裁例集一四巻一二号一五八)
事件番号: 昭和45(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和50年12月18日 / 結論: 棄却
一、地方税法七三条の二一第一項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産」とは、不動産を取縛した日の属する年の一月一日における当該不動産の価格が固定資産課税台帳に登録されている不動産を指す。 二、基準年度に不動産を取得した場合において、右取得時までに基準年度に係る当該不動産の価格の決定及び当該価格の…
事件番号: 平成31(行ヒ)99 / 裁判年月日: 令和2年3月19日 / 結論: 破棄自判
固定資産評価基準により隣接する2筆以上の宅地を一画地として認定して画地計算法を適用する場合において,各筆の宅地の評点数は,画地計算法の適用により算出された当該画地の単位地積当たりの評点数に,各筆の宅地の地積を乗ずることによって算出される。
事件番号: 昭和43(行ツ)90 / 裁判年月日: 昭和48年11月16日 / 結論: 破棄自判
一、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいても、譲渡担保による不動産の取得は、同法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 二、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいて、譲渡担保による不動産の取得につき、同法七三条の七第三号は類推適用されない。