名古屋市議会の議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例(昭和42年名古屋市条例第4号。平成12年名古屋市条例第67号による改正前のもの)の議員定数配分規定は,平成12年7月30日施行の名古屋市議会議員中区選挙区補欠選挙当時,公職選挙法15条8項に違反していたものとはいえない。
名古屋市議会の議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例(昭和42年名古屋市条例第4号。平成12年名古屋市条例第67号による改正前のもの)の議員定数配分規定の適法性
名古屋市議会の議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例(昭和42年名古屋市条例第4号。平成12年名古屋市条例第67号による改正前のもの)2条,公職選挙法15条8項
判旨
指定都市議会議員選挙の定数配分規定において、人口比例原則に反する投票価値の不平等が存しても、それが諸般の要素を考慮して一般的に合理性を有しない程度に達していない限り、議会の裁量権の範囲内として公選法15条8項に違反しない。
問題の所在(論点)
指定都市議会議員の定数配分規定における投票価値の不平等が、公選法15条8項(人口比例原則)に違反し、裁量権の限界を超えるものといえるか。
規範
公選法15条8項は人口比例を基本原則とするが、指定都市の選挙制度上、1票の価値の較差が生じることは避けられない面がある。したがって、定数配分規定の適法性は、議会の裁量権の合理的な行使として是認されるか否かにより決すべきである。具体的には、投票価値の不平等が、地域間の均衡を図るため通常考慮し得る諸般の要素を斟酌してもなお、一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、裁量の限界を超えたものと推定され、正当化すべき特別の理由がない限り同項に違反する。
重要事実
名古屋市議会議員選挙(平成11年一般選挙等)において、条例による議員定数は78人(法定基準は88人)とされていた。選挙区間の議員1人当たりの人口最大較差は1対1.81であり、逆転現象が20通り(うち定数2人の差がある顕著なものが9通り)存在した。なお、人口比定数(計算上の理論値)によれば、いずれの区も定数2人以上となり、最大較差は1対1.31となる状況であった。
あてはめ
本件の最大較差1.81倍は、純粋な人口比定数による較差1.31倍をかなり上回っており、逆転現象も少なからず存在するため、人口比例原則に反する点は否定できない。しかし、公選法15条8項但書が地域間の均衡等の修正を許容していることや指定都市特有の選挙制度に照らせば、本件の不平等は、諸般の要素を考慮してもなお一般的合理性を欠く程度に達しているとまではいえない。よって、議会に与えられた合理的裁量の限界を超えていると断定することはできない。
結論
本件条例の定数配分規定は、公選法15条8項に違反しない。
実務上の射程
地方議会議員選挙(特に指定都市)の定数訴訟における違憲・違法審査基準として機能する。国政選挙よりも議会の広範な裁量を認める傾向にあるが、「一般的合理性を有しない程度」という枠組みを用いて、較差の程度と逆転現象の有無から裁量権逸脱を判断する際の指標となる。
事件番号: 平成26(行ツ)103 / 裁判年月日: 平成27年1月15日 / 結論: 棄却
1 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)の議員定数配分規定は,平成25年6月23日施行の東京都議会議員選挙当時,公職選挙法15条8項に違反していたものとはいえない。 2 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44…