1 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条の衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準を定める規定は,憲法14条1項,43条1項に違反するものとはいえず,上記基準に従って定められた公職選挙法13条1項,別表第一の上記区割りを定める規定は,平成12年6月25日施行の衆議院議員選挙当時,憲法14条1項,43条1項に違反していたものということはできない。 2 衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党に政見放送その他の選挙運動を認める公職選挙法の規定は,候補者届出政党に所属する候補者とこれに所属しない候補者との間に選挙運動の上で差異を生ずるものであるが,その差異が合理性を有するとは到底考えられない程度に達しているとは断定し難く,憲法14条1項に違反するとはいえない。 (1につき反対意見がある。)
1 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条の衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準を定める規定及び公職選挙法13条1項,別表第一の上記区割りを定める規定の合憲性 2 衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党に選挙運動を認める公職選挙法の規定の合憲性
憲法14条1項,憲法43条1項,公職選挙法13条1項,公職選挙法別表第一,公職選挙法131条1項,公職選挙法141条1項,公職選挙法141条2項,公職選挙法141条7項,公職選挙法141条の2第1項,公職選挙法142条1項,公職選挙法142条2項,公職選挙法142条9項,公職選挙法143条1項,公職選挙法143条3項,公職選挙法144条1項,公職選挙法144条4項,公職選挙法149条1項,公職選挙法150条1項,公職選挙法150条4項,公職選挙法151条の5,公職選挙法161条1項,公職選挙法161条の2,衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条,衆議院議員選挙区画定審議会設置法附則2条3項
判旨
衆議院選挙における「1人別枠方式」を伴う定数配分及び区割規定は、投票価値の平等以外の政策的目的を考慮した国会の裁量の範囲内として合憲である。また、候補者届出政党と無所属候補者間の選挙運動の差異についても、政策本位・政党本位の選挙実現という合理的理由があるため合憲である。
問題の所在(論点)
1. 各都道府県にまず1議席を配分する「1人別枠方式」及びこれに基づく区割規定が、投票価値の平等(憲法14条1項等)に反し違憲か。2. 候補者届出政党所属の候補者と無所属候補者との間の選挙運動の差異が、法の下の平等に反し違憲か。
規範
選挙制度の具体的決定は国会の広い裁量に委ねられている。投票価値の平等は唯一絶対の基準ではなく、他の政策的目的との関連で調和的に実現されるべきものである。したがって、国会が定めた仕組みが、裁量権の行使として合理性を是認し得るものである限り、投票価値の平等が損なわれても直ちに違憲とはならず、その限界を超えて是認できない場合に初めて憲法違反となる。
重要事実
平成12年施行の衆議院総選挙において、区画審設置法の「1人別枠方式」(人口にかかわらず各都道府県にまず1議席を配分する方式)等に基づき定められた区割規定により、選挙区間の最大格差が1対2.471に達していた。また、公職選挙法上の規定により、候補者届出政党に所属する候補者と無所属候補者との間で、選挙運動(特に政見放送の可否等)に差異が生じていた。
あてはめ
1. 1人別枠方式は、人口の少ない県の意見を反映させる等の政策目的があり、区割基準も人口較差2倍未満を基本とするなど投票価値に配慮している。都道府県を基礎的要素とすることや過疎対策等の考慮は裁量の範囲内であり、1対2.471の較差は合理性を欠く程度に達しているとはいえない。2. 選挙運動の差異は、政策本位・政党本位の選挙を実現するという合理的目的に基づく。政見放送の格差には疑問の余地があるが、他の運動手段が確保されている以上、全体として不当な差別とは断定できない。
結論
本件区割規定および選挙運動の格差を定める規定は、いずれも憲法14条1項、15条1項、43条1項等に違反しない。
実務上の射程
本判決は「1人別枠方式」を合憲とした代表的判例であるが、その後の判例(最大判平成23年3月23日等)により、1人別枠方式は構造的な格差を生むものとして、現在ではその合理性が否定されるに至っている点に注意が必要である。答案上は、当時の裁量権の広範さを基礎付ける文脈で使用する。
事件番号: 平成18(行ツ)176 / 裁判年月日: 平成19年6月13日 / 結論: 棄却
1 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条のいわゆる1人別枠方式を含む衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準を定める規定は,憲法14条1項に違反するものとはいえず,平成14年法律第95号による公職選挙法の改正により上記基準に従って改定された同法13条1項,別表第1の上記区割りを定める規定は,その改定当時においても,平成…