衆議院議員選挙区画定審議会設置法三条の衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準を定める規定は、憲法一四条一項、四三条一項に違反するものとはいえず、右基準に従って定められた公職選挙法一三条一項、別表第一の右区割りを定める規定は、平成八年一〇月二〇日施行の衆議院議員選挙当時、憲法一四条一項、四三条一項に違反していたものということはできない。 (反対意見がある。)
衆議院議員選挙区画定審議会設置法三条の衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準を定める規定及び公職選挙法一三条一項、別表第一の右区割りを定める規定の合憲性
憲法14条1項,憲法43条1項,公職選挙法13条1項,公職選挙法別表第1,衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条,衆議院議員選挙区画定審議会設置法附則2条3項
判旨
衆議院の小選挙区比例代表並立制への移行に伴う定数配分及び区割規定は、都道府県への「一人別枠方式」を採用した結果、最大較差2.309倍に達していたとしても、国会の裁量権の限界を超えた違憲状態には当たらない。
問題の所在(論点)
都道府県にまず1議席を割り当てる「一人別枠方式」等を含む区割規定が、憲法14条1項等の要請する投票価値の平等に反し、国会の裁量権の限界を超えて違憲となるか。
規範
選挙制度の決定は原則として国会の広い裁量に委ねられる。投票価値の平等は唯一絶対の基準ではなく、都道府県等の歴史的・政治的意義や地勢等の諸要素を考慮した結果、不平等が「一般に合理性を有すると考えられない程度」に達している場合に初めて、裁量の限界を超え憲法違反となる。
重要事実
平成6年の公職選挙法改正により衆議院選挙に小選挙区比例代表並立制が導入された。区割基準(区画審設置法3条)は、各都道府県にまず1議席を配分し残りを人口比例で配分する「一人別枠方式」を採用。平成8年の本件選挙当時の最大人口較差は1対2.309であり、較差が2倍を超える選挙区が60存在していた。
あてはめ
都道府県は我が国の政治・行政において相当の役割を果たしており、区割りにおける基礎的要素として考慮することには合理性がある。一人別枠方式は、人口の少ない県の意見を反映させる政策的目的があり、憲法43条1項の「全国民の代表」の理念とも矛盾しない。最大較差2.309倍は、改正当初の激変緩和や諸般の要素を総合考慮すれば、合理性を否定すべき程度に達しているとはいえない。
結論
本件区割規定は憲法14条1項、15条1項、43条1項等に違反せず、本件選挙は有効である。
実務上の射程
「一人別枠方式」の合憲性を肯定した重要な判例だが、後の判例(最大判平成23年3月23日等)では、人口変動の結果として1対2倍を超える較差が維持されることに対し、本判決よりも厳しい「違憲状態」判決が出されている点に注意が必要である。答案では、裁量権の枠組みを維持しつつも、現在は「一人別枠方式」が撤廃される方向にあることを踏まえて論じるべきである。
事件番号: 平成11(行ツ)241 / 裁判年月日: 平成12年9月6日 / 結論: 棄却
平成六年法律第四七号による参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の改正の結果、選挙区間において、同二年の国勢調査による人口に基づく議員一人当たりの人口及び右改正当時における議員一人当たりの選挙人数にそれぞれ最大一対四・八一及び最大一対四・九九の較差が残ることとなったとしても、右改正をもって国会の立法裁量権の限界を超…