福井県の各課等が旅費の執行の適否につき調査した結果を整理して作成し,管理している文書は,福井県文書規程(昭和61年福井県訓令第6号。平成12年福井県訓令第8号による改正前のもの)所定の決裁又は供覧の手続を経ていなくとも,同文書を基礎として同県の旅費調査委員会が作成した旅費調査結果等に関する報告書について決裁の手続が終了したという事実関係の下においては,公開請求の対象として福井県公文書公開条例(昭和61年福井県条例第2号。平成12年福井県条例第4号による改正前のもの)2条1項に規定する「公文書」である「決裁または供覧の手続終了後,県において管理されている」文書に当たる。
決裁の手続の終了した文書の作成上その基礎となった文書が公開請求の対象として福井県公文書公開条例(昭和61年福井県条例第2号。平成12年福井県条例第4号による改正前のもの)2条1項に規定する「公文書」に当たるとされた事例
福井県公文書公開条例(昭和61年福井県条例第2号。平成12年福井県条例第4号による改正前のもの)2条1項
判旨
情報公開条例上の「公文書」の要件である「決裁又は供覧の手続終了後」の意義について、当該文書自体に手続が予定されていなくても、決裁等を経た報告書の基礎となった文書は、決裁の対象と同視すべきであり公文書に該当する。
問題の所在(論点)
情報公開条例において、文書自体が決裁・供覧の手続を経ていない場合であっても、決裁手続を経た報告書の基礎となった資料が「決裁または供覧の手続終了後」の公文書に該当するか。
規範
条例上の「決裁または供覧の手続終了後」という要件は、仮に決裁等の手続を予定していない文書を公開対象から排除する趣旨だとしても、当該文書が決裁手続を経て公表された報告書の基礎となったものである場合には、決裁の対象となるものと同視すべきである。したがって、基礎となった報告書について決裁手続が終了した以上、当該文書も「手続終了後」の要件を満たす公文書に該当すると解するのが相当である。
事件番号: 平成13(行ヒ)106 / 裁判年月日: 平成15年6月10日 / 結論: 破棄差戻
福岡県財務規則(昭和39年福岡県規則第23号。平成9年福岡県規則第82号による改正前のもの)131条2項が収入及び支出に係る証拠書類の保存の主体を含めた文書管理の方法を別に定めるところにゆだねており,福岡県警察本部総務課,同県議会議員及び同事務局に関する懇談会費及び旅費の支出に係る証拠書類が同県出納事務局から同県警察本…
重要事実
福井県の住民が、旅費調査委員会の調査結果を整理・集計した「取りまとめ文書」の公開を請求した。本件条例2条1項は「公文書」を決裁または供覧の手続終了後のものと定義していた。当該文書は、県各課等の調査結果を整理した内部資料であり、文書規程上の決裁等を経ていなかったが、この文書を基礎として作成された「旅費調査結果報告書」は、決裁手続を経て公表されていた。
あてはめ
本件の取りまとめ文書は、旅費の執行調査結果を整理したもので、県各課等により管理されている。そして、決裁手続を経て公表された「本件報告書」は、この取りまとめ文書を直接の基礎として作成されたものである。そうであれば、取りまとめ文書自体に独自の決裁予定があるか否かにかかわらず、報告書の決裁手続が行われたことをもって、その基礎資料たる本件文書も決裁対象と同視できる状態にあるといえる。
結論
取りまとめ文書は「決裁または供覧の手続終了後」の要件を満たし、本件条例上の公文書に該当する。したがって、同文書を存在しないとしてなされた非公開処分は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
行政内部の準備段階の文書やメモであっても、それに基づき最終的な意思決定(決裁)がなされた場合には、その基礎資料も「公文書」として公開対象になり得ることを示した。決裁概念を形式的・限定的に解釈して公開範囲を狭めることを防ぐ実務上の意義がある。答案では、公文書の定義規定の解釈において、公開制度の趣旨に遡った実質的判断の論拠として活用できる。
事件番号: 平成11(行ヒ)28 / 裁判年月日: 平成14年10月11日 / 結論: 棄却
公立学校教員採用候補者選考審査のうちの教職教養筆記審査の択一式問題とその解答は,受審者の間で過去の出題例を編集した市販の問題集等を用いた受審準備が行われているなど判示の事情の下においては,県の機関又は国等の機関が行う事務事業に関する情報についての非開示事由を定める高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)6条8号に…
事件番号: 平成11(行ヒ)221 / 裁判年月日: 平成13年12月14日 / 結論: 破棄差戻
1 旧徳島県情報公開条例(平成元年徳島県条例第5号。平成13年徳島県条例第1号による全部改正前のもの)による公開請求の対象となる公文書の範囲を規定している同条例2条1項にいう「実施機関が管理している」とは,実施機関が公文書を現実に支配,管理していることを意味する。 2 徳島県の予算執行事務の権限が知事に属することから直…
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
事件番号: 平成13(行ヒ)8 / 裁判年月日: 平成16年2月13日 / 結論: その他
1 京都市清掃局の開催した飲食を伴う会合に埋立処分地,清掃工場,清掃事務所等の清掃事業施設等の地元関係者が出席したことに関する情報は,同会合が,上記施設等の稼働,建設計画等に関して地元関係者と内密に個別折衝し,あるいは地元関係者の理解を得るために開催されたという事実関係の下においては,京都市公文書の公開に関する条例(平…