1 広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」は,個人の思想,信条,健康状態,所得,学歴,家族構成,住所等の私事に関する情報に限定されるものではなく,個人にかかわりのある情報であれば,原則としてこれに当たる。 2 法人(国及び地方公共団体その他の公共団体を除く。)その他の団体を代表する者が職務として行う行為等当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は,広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。 3 国及び地方公共団体の公務員の職務の遂行に関する情報は,公務員個人の私事に関する情報が含まれる場合を除き,広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。 4 広島県が主要事業の説明,要望等を行うために開催した会に,国家公務員が,職務と離れた個人的な立場から意見を交換するなどのためにではなく,その職務に関して同県側から説明や要望を受けるために出席したなど判示の事実関係の下においては,その出席に関する情報は,広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。 5 広島県が各省庁に在籍する国家公務員等に主要事業の説明,要望等を行うために開催した会に,中央省庁にかつて在職した者が,その経歴を有するという立場に基づいて出席したという事実関係の下においては,その者が同県側において各省庁に対して行う陳情や要望に事実上の影響力を有するとしても,その出席に関する情報は,広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 6 会社,事業団,財団等に所属する者が,広島県の開催した会に,その職務の遂行としてではなく,いわば有識者として同県の産業振興施策全般について助言や意見交換を行うために出席したという事実関係の下においては,その出席に関する情報は,広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 (1につき意見及び反対意見,3,4,6につき意見,5につき反対意見がある。)
1 広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」の意義 2 法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報の広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」該当性 3 公務員の職務の遂行に関する情報の広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」該当性 4 国家公務員が広島県の開催した会に出席したことに関する情報が広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」に当たらないとされた事例 5 中央省庁にかつて在職した者が広島県の開催した会に出席したことに関する情報が広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」に当たるとされた事例 6 会社等に所属する者が広島県の開催した会に出席したことに関する情報が広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」に当たるとされた事例
広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号,広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条3号
判旨
情報公開条例における「個人に関する情報」は、個人の私事に関する情報に限定されず、個人にかかわりのある情報であれば原則として該当するが、公務員の職務遂行に関する情報は、特段の事情がない限りこれに当たらない。
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…
問題の所在(論点)
情報公開条例上の「個人に関する情報」の範囲。特に、①省庁在籍公務員、②省庁OB、③民間有識者が、行政機関の開催する会議等に出席した際の情報が「個人に関する情報」として非公開の対象となるか。
規範
1. 「個人に関する情報」とは、文言上何ら限定されていないため、私事に関する情報(プライバシー)に限られず、個人にかかわりのある情報であれば原則としてこれに当たる。 2. ただし、法人等の代表者が職務として行う行為に関する情報は、法人等に関する情報として扱われる。 3. また、公務員の職務の遂行に関する情報は、公文書公開制度の目的(県政の透明化)に照らし、私事に関する情報が含まれる場合を除き、原則として「個人に関する情報」には当たらない。これには他自治体や国の公務員も含まれる。
重要事実
広島県が開催した「D幹事会(省庁在籍者・OB出席)」および「E産業懇話会(民間有識者出席)」の食糧費支出に係る文書について、公開請求がなされた。県は、出席した相手方の氏名・所属・職名が、条例9条2号の「個人に関する情報(非公開情報)」に該当するとして非公開処分とした。原審は、これらは私生活上の情報ではないとして公開を命じたため、県が上告した。
あてはめ
1. 省庁在籍者(非公開部分1):職務として広島県側から説明や要望を受けるために出席しており、公務員の職務遂行に関する情報といえるため、「個人に関する情報」に当たらない。 2. 省庁OB(非公開部分2):かつて在職したという立場に基づき出席しているが、公務員の職務遂行とは同一視できず、個人の社会的活動にかかわる情報であるため、「個人に関する情報」に当たる。 3. 民間有識者(非公開部分3):有識者の立場での助言は、所属団体の職務遂行(団体そのものの行為)とは評価できず、個人の社会的活動にかかわる情報であるため、「個人に関する情報」に当たる。
結論
省庁在籍公務員の氏名等は公開すべきだが、省庁OBおよび民間有識者の氏名等は「個人に関する情報」に該当し、非公開とすることは適法である。
実務上の射程
行政法における情報公開の重要判例。「個人に関する情報」の定義を広く解釈しつつ、「公務員の職務遂行」を例外的に公開対象とする。答案では、情報の主体が「公務員としての職務遂行」か「個人の社会的活動」かを区別する際のメルクマールとして活用する。
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…
事件番号: 平成11(行ヒ)145 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)を代表する者又はこれに準ずる地位にある者がその職務として行う行為等当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は,旧新潟県情報公開条例(平成7年新潟県条例第1号。平成10年新潟県条例第40号による改正前のもの)10条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。 …
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
事件番号: 平成13(行ヒ)18 / 裁判年月日: 平成16年2月13日 / 結論: その他
1 京都市交通局の開催した飲食を伴う協議に地下鉄建設事業地域の地元住民の団体に所属する者及び地権者の団体に所属する者が出席したことに関する情報は,同協議が上記各団体に地下鉄建設工事の内容の説明等を行うことなどを目的としていたという事実関係の下においては,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条1…