りんご生産等の事業を営むことを目的とする民法上の組合の組合員がりんご生産作業の専従者として同作業に従事して労務費名目で金員の支払を受けた場合において,上記金員は作業時間を基礎として日給制でその金額が決定され原則として毎月所定の給料日に現金を手渡す方法で支払われ,専従者は同作業の管理者の指示に従って作業に従事し,その作業時間がタイムカードによって記録されており,その作業内容を含めこれらの点において専従者と一般作業員との間に基本的に異なるところがなく,他方,組合員に対する出資口数に応じた現金配当は1度行われたことがあるにすぎないなど判示の事実関係の下においては,専従者が一般作業員とは異なり組合員の中から組合の総会において選任されりんご生産作業においては管理者と一般作業員との間にあって管理者を補助する立場にあったことなどを考慮しても,上記金員に係る収入をもって労務出資をした組合員に対する組合の利益の分配であるとみるのは困難であり,当該収入に係る所得は給与所得に該当する。
民法上の組合の組合員が組合の事業に係る作業に従事して支払を受けた収入に係る所得が給与所得に該当するとされた事例
所得税法27条1項,所得税法28条1項,民法667条,民法674条
判旨
民法上の組合員が組合から労務の対価として受ける金員が、給与所得(所得税法28条1項)か事業所得の分配(同27条1項)かは、法律関係に関する当事者の認識、労務提供や支払の具体的態様等を客観的・実質的に考察して判断すべきである。
問題の所在(論点)
民法上の組合員が組合の事業に従事して受ける金員が、所得税法28条1項の「給与所得」に該当するか、あるいは組合事業から生じた利益の分配として「事業所得」に該当するか。
規範
組合員に対する支払が給与所得に該当するかは、単に組合員であることのみをもって判断せず、以下の要素を総合考慮して客観的・実質的に判断する。(1)組合及び組合員の意思・認識(雇用関係としての認識の有無)、(2)支払の決定方式・態様(利益の有無にかかわらず定額・日給制か、支払方法が一般被用者と同様か)、(3)労務提供の態様(管理者の指揮命令下にあるか、タイムカード等で管理されているか)。
事件番号: 平成16(行ヒ)141 / 裁判年月日: 平成17年1月25日 / 結論: 棄却
米国法人の子会社である日本法人の代表取締役が,親会社である米国法人から親会社の株式をあらかじめ定められた権利行使価格で取得することができる権利(いわゆるストックオプション)を付与されてこれを行使し,権利行使時点における親会社の株価と所定の権利行使価格との差額に相当する経済的利益を得た場合において,上記権利は,親会社が同…
重要事実
リンゴ生産組合(民法上の組合)の組合員であるXは、責任出役義務制の廃止後、総会で「専従者」に選任され作業に従事した。Xは管理者から作業指示を受け、タイムカードで時間を管理され、一般作業員(非組合員)とほぼ同様の算定基準による日給制で金員を得ていた。組合は利益の有無にかかわらずこれを通例の経費(労務費)として処理し、組合員への利益配当は過去に一度しかなかった。税務署長(被上告人)は、Xの収入は事業所得(利益分配)であるとして更正処分等を行った。
あてはめ
本件では、(1)専従者の労務費は一般作業員と同様に作業時間を基礎とした日給制であり、支払方法も給料袋で手渡す等、雇用関係を前提とした認識がうかがえる。(2)労務費は利益の多寡にかかわらず決定・支払われており、利益分配としての性質は希薄である。(3)Xは管理者の指揮命令に服し、タイムカードで管理され、一般作業員と実質的に変わらない労務を提供していた。これらによれば、本件収入は雇用関係に基づく労務の対価と認められる。
結論
本件収入は給与所得に該当する。したがって、これを事業所得とした更正処分等は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
民法上の組合員であっても、実態として指揮命令下での労働(雇用関係)が認められれば、その対価は給与所得となる。組合員と組合の間に雇用契約が成立し得ることを肯定した点に意義があり、所得区分が争点となる税務訴訟や、労働者性の有無が問われる場面での判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和52(行ツ)12 / 裁判年月日: 昭和56年4月24日 / 結論: その他
いわゆる減額再更正処分につき、納税者は、その取消を求める訴の利益を有しない。
事件番号: 平成24(行ヒ)408 / 裁判年月日: 平成27年6月12日 / 結論: その他
1 匿名組合契約に基づき匿名組合員が営業者から受ける利益の分配に係る所得は,①当該契約において,匿名組合員に営業者の営む事業に係る重要な意思決定に関与するなどの権限が付与されており,匿名組合員が実質的に営業者と共同して事業を営む者としての地位を有するものと認められる場合には,当該事業の内容に従って事業所得又はその他の各…
事件番号: 平成16(行ツ)23 / 裁判年月日: 平成16年11月2日 / 結論: 棄却
1 所得税法56条は,居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合であっても,その居住者の営む事業に従事したことなどの同条所定の要件が満たされる限り,適用される。 2 配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合にその居住者の事業所得等の金額の計算に所得税法56条を適用してされた課税処分は,憲…