競売の対象とされた土地上に競売の対象とはされていない建物等が存在する場合であっても、右土地の引渡命令を発付することは許される。
競売の対象とされた土地上に競売対象外の建物等が存在する場合に右土地の引渡命令を発付することの許否
民事執行法83条
判旨
競売対象の土地上に競売対象外の建物が存在する場合でも、執行裁判所は買受人の申立てに基づき、債務者等に対し土地の引渡命令を発することができる。
問題の所在(論点)
民事執行法83条1項に基づく不動産引渡命令の申立てにおいて、土地上の定着物が競売対象外である場合に、土地全体の引渡命令を発することが許されるか。
規範
競売対象外の建物等の存在により、敷地部分の引渡執行が事実上不能となることが予想される場合であっても、土地の引渡命令を求める申立ての利益は否定されない。買受人のために簡易迅速な占有取得の手段を確保するという引渡命令の趣旨(民事執行法83条1項)に照らし、執行裁判所は土地引渡命令を発付することができる。
重要事実
本件では、競売の対象とされた土地上に、競売の対象には含まれていない建物等の土地定着物が存在していた。土地を買受けて代金を納付した買受人が、債務者または占有者に対して当該土地の引渡命令を申し立てたところ、土地上の建物等の存在を理由に引渡命令の可否が争点となった。
事件番号: 平成11(許)39 / 裁判年月日: 平成12年3月16日 / 結論: 棄却
滞納処分による差押えがされた後強制競売等の開始決定による差押えがされるまでの間に賃借権が設定された不動産が強制競売手続等により売却された場合に、執行裁判所は、右賃借権に基づく不動産の占有者に対し、引渡命令を発することができる。
あてはめ
引渡命令は不動産引渡執行の債務名義であり、その趣旨は買受人の占有取得を簡易迅速に実現することにある。本件では、土地上の建物の存在によって土地の引渡執行が事実上困難になる可能性はあるが、それは執行段階の問題にすぎない。建物が対象外であることを理由に申立てを却下することは、買受人の権利実現を不当に遅延させるものであり、引渡命令の制度趣旨に反すると評価される。
結論
土地上に競売対象外の建物が存在する場合であっても、土地引渡命令を発することは可能である。
実務上の射程
土地のみの競売において建物が法定地上権を欠く場合など、実務上頻出する場面で活用される。答案上は、引渡命令の「簡便性」という趣旨から、執行障害の予見が申立権自体を否定するものではないことを示す際に引用する。ただし、実際の引渡執行において建物を収去するには別途収去を命ずる債務名義が必要になる点には注意を要する。
事件番号: 昭和63(ク)304 / 裁判年月日: 昭和63年10月6日 / 結論: 棄却
民事執行法八三条による引渡命令の裁判は、憲法三二条、八二条に違反しない。
事件番号: 平成18(許)21 / 裁判年月日: 平成18年10月27日 / 結論: 破棄自判
登録自動車を目的とする民法上の留置権による競売においては,その被担保債権が当該自動車に関して生じたことが主要事実として認定されている確定判決であれば,債権者による当該自動車の占有の事実が認定されていなくとも,民事執行法181条1項1号所定の「担保権の存在を証する確定判決」に当たる。
事件番号: 平成12(許)22 / 裁判年月日: 平成13年1月25日 / 結論: 棄却
最先順位の抵当権者に対抗することができる賃借権により競売不動産を占有する者に対しては,この者の債務を担保するために当該不動産に設定された抵当権に基づく競売開始決定(二重開始決定を含む。)がされていた場合を除き,執行裁判所は引渡命令を発することができない。
事件番号: 昭和26(ク)21 / 裁判年月日: 昭和26年4月28日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事訴訟法(旧法)419条の2に基づき、憲法判断の不当を理由とする場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由は、原決定において憲法適合性に関する判断がなされた点についての不服を内容とする…