東京都大田区の小学校児童指導要録の裏面のうち「各教科の学習の記録」欄中の「? 所見」欄,「特別活動の記録」欄及び「行動及び性格の記録」欄には,担任教師が,児童,保護者等に開示することを予定せずに,自らの言葉で,児童の良い面,悪い面を問わず,ありのまま児童の学習意欲,学習態度等に関する全体的評価又は人物評価を記載していたなど判示の事情の下においては,上記各欄に記録された情報は,東京都大田区公文書開示条例(昭和60年東京都大田区条例第51号。平成10年東京都大田区条例第65号による改正前のもの)10条2号の非開示情報に当たるが,同指導要録の裏面のうち「各教科の学習の記録」欄中の「? 観点別学習状況」欄及び「? 評定」欄には,児童の日常的学習の結果に基づく学習の到達段階が3段階又は5段階に分類して記載されていたにすぎず,「標準検査の記録」欄には,知能検査の結果等客観的な事実が記載されていたなど判示の事情の下においては,上記各欄に記録された情報は,上記非開示情報に当たらない。
小学校児童指導要録の裏面に記録された情報の一部が東京都大田区公文書開示条例(昭和60年東京都大田区条例第51号。平成10年東京都大田区条例第65号による改正前のもの)10条2号の非開示情報に当たるが他の一部はこれに当たらないとされた事例
学校教育法施行規則12条の3第1項,東京都大田区公文書開示条例(昭和60年東京都大田区条例第51号。平成10年東京都大田区条例第65号による改正前のもの)10条2号
判旨
公文書開示条例における「自己情報の開示」につき、指導要録のうち教員の主観的評価が強い所見等は非開示事由に該当するが、客観性の高い学習到達度や検査結果は非開示事由に該当しない。
問題の所在(論点)
自己情報開示請求において、指導要録に記録された情報が、東京都大田区公文書開示条例10条2号の「開示しないことが正当と認められる情報(指導・判定・評価等)」に該当するか。
規範
条例上の非開示事由(当該個人に開示しないことが正当と認められるもの)の成否は、情報の性質に基づき、開示によって生ずる支障(記載の形骸化、教育的指導への困難等)の蓋然性を考慮して判断する。特に、評価者の観察・洞察等の主観的要素に左右される情報か、それとも学習到達段階や客観的事実を示す主観的要素の少ない情報かによって区別される。
事件番号: 平成11(行ヒ)28 / 裁判年月日: 平成14年10月11日 / 結論: 棄却
公立学校教員採用候補者選考審査のうちの教職教養筆記審査の択一式問題とその解答は,受審者の間で過去の出題例を編集した市販の問題集等を用いた受審準備が行われているなど判示の事情の下においては,県の機関又は国等の機関が行う事務事業に関する情報についての非開示事由を定める高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)6条8号に…
重要事実
中学2年生の上告人が、自己の小学校児童指導要録(本件指導要録)の開示を求めた。実施機関(大田区)は、指導要録はありのままの記載を前提とする教育資料であり、開示により信頼関係が損なわれ指導が困難になるおそれがあるとして非開示処分とした。対象は、各教科の「観点別学習状況」・「評定」、「所見」、「特別活動」、「行動及び性格」及び「標準検査」の記録である。
あてはめ
1.【本件情報1(所見、特別活動、行動・性格)】児童の学習意欲や人物評価等の全体的評価であり、担任教師の主観的要素に左右され得る。非開示前提で記載されており、開示すれば誤解や反発を招き、記載の形骸化・空洞化を招く蓋然性が高いため、非開示事由に該当する。 2.【本件情報2(観点別学習状況、評定、標準検査)】日常の学習結果に基づく到達段階を記号や数字で示したものであり、主観的要素が入る余地が比較的少なく、個別具体的な評価内容まで判明するものではない。また標準検査は客観的事実の記載である。これらは開示しても教育上の支障が生じるとはいい難いため、非開示事由に該当しない。
結論
本件情報1の部分の非開示は適法であるが、本件情報2(学習状況・評定・標準検査)の部分を非開示とした処分は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
自己情報開示制度における非開示事由の解釈指針。評価の「主観性・定性的性質」と「客観性・定量的性質」を峻別して判断枠組みを示しており、学校現場に限らず人事評価等の開示請求事案においても、情報の性質に応じた比較衡量を行う際の基準となる。
事件番号: 平成12(行ヒ)334 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 富山県の職員の出勤簿に記録された職員の採用年月日及び退職年月日を示す情報並びにその職員が特定の日に出勤し,又は出張したことを示す情報及びその職員が特定の日に職務専念義務の免除を受け,厚生事業に参加し,又は欠勤したことを示す情報で公務に従事しなかった個別的内容や具体的理由までが明らかになるものではないものは,旧富山県…
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…
事件番号: 平成11(行ヒ)145 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)を代表する者又はこれに準ずる地位にある者がその職務として行う行為等当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は,旧新潟県情報公開条例(平成7年新潟県条例第1号。平成10年新潟県条例第40号による改正前のもの)10条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。 …
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…