いわゆる自動継続特約付きの定期預金債権に対する仮差押えの執行がされても,同特約に基づく自動継続の効果は妨げられない。
いわゆる自動継続特約付きの定期預金債権に対する仮差押えの執行と同特約に基づく自動継続の成否
民法91条,民法666条,民事保全法50条1項
判旨
自動継続定期預金の特約は当初の契約内容を構成するため、仮差押えがされても当然にその効力が妨げられることはなく、銀行は仮差押えの一事をもって継続を拒絶できない。
問題の所在(論点)
定期預金債権が仮差押えを受けた場合、銀行は「自動継続特約」による預金契約の更新を拒絶し、低利の普通預金へと切り替えることができるか。仮差押えの効力が自動継続に及ぶか(処分禁止効との関係)が問題となる。
規範
自動継続特約は、当事者の特段の行為を要さず満期日に前回と同一期間の定期預金として継続させる合意であり、当初の定期預金契約の一部を構成する。したがって、当該預金債権に仮差押えの執行がされても特約の効力は妨げられず、銀行側は「仮差押えを受けたこと」のみを理由として継続を拒絶することはできない。
重要事実
預金者X(教職員組合)は、銀行Yとの間で、自動継続特約付きの定期預金(本件1〜8)および継続手続の合意がある定期預金(本件9〜20)を契約していた。その後、第三者がXの預金債権を仮差押えした。Yは仮差押えを理由に満期後の継続を拒絶し、普通預金の利率による利息のみを支払った。Xは、継続が認められるべきとして、約定の定期預金利息の支払いを求めて提訴した。
事件番号: 平成22(受)16 / 裁判年月日: 平成23年12月15日 / 結論: 破棄自判
会社から取立委任を受けた約束手形につき商事留置権を有する銀行は,同会社の再生手続開始後の取立てに係る取立金を,法定の手続によらず同会社の債務の弁済に充当し得る旨を定める銀行取引約定に基づき,同会社の債務の弁済に充当することができる。 (補足意見がある。)
あてはめ
本件1〜8について、自動継続特約は契約成立時に組み込まれた期間に関する合意である。仮差押えは債務者の処分行為を禁止するものであるが、特約に基づく自動継続は「当事者の新たな処分行為」を媒介せず当然に発生する効果である。したがって、仮差押えによってこの効果が妨げられる理由はない。また、本件9〜20についても、単に「仮差押えがある」というだけで直ちに継続義務を免れると判断した原審の判断は、契約の解釈を誤ったものである。
結論
自動継続特約付きの預金については、仮差押え後も特約に基づき定期預金として継続される。銀行は、仮差押えのみを理由に継続を拒絶できず、約定の定期預金利息を支払う義務を負う。
実務上の射程
自動継続特約が「契約締結時からの予定された合意」であることを重視する。答案上は、仮差押え(または差押え)の処分禁止効(民訴法173条、民執法145条1項等)の範囲が、既存の契約条項に基づく期間延長にまで及ぶかという文脈で使用する。銀行側の「正当な理由」による解約や更新拒絶の可否を検討する際、単なる差押えの存在だけでは足りないとする規範として機能する。
事件番号: 昭和58(オ)1406 / 裁判年月日: 昭和63年3月15日 / 結論: 棄却
一 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行後に仮処分命令が控訴審で取り消された場合には、本案訴訟が未確定であり、又は従業員としての地位保全の仮処分が同時に発せられていたときであつても、仮処分債務者は、特段の事情がない限り、仮処分債権者に対し仮払金の返還請求権を取得し、その返還義務の範囲は不当利得の規定に準じてこれを定めるべきで…
事件番号: 平成22(受)1405 / 裁判年月日: 平成23年7月8日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において,上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんにより,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転する,あるいは,当該…
事件番号: 平成14(受)912 / 裁判年月日: 平成16年2月20日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が,貸金の弁済を受ける前に,その弁済があった場合の貸金業の規制等に関する法律18条1項所定の事項が記載されている書面で貸金業者の銀行口座への振込用紙と一体となったものを債務者に交付し,債務者がこの書面を利用して同銀行口座に対する払込みの方法によって利息の支払をしたとしても,同法43条1項の適用要件である同法18…