民訴法三八〇条一項は、憲法三二条に違反しない。
民訴法三八〇条一項と憲法三二条
民訴法380条1項,憲法32条
判旨
憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、審級制度の設計は専ら立法政策に委ねられており、少額訴訟の異議後判決に対する控訴を禁止する民事訴訟法380条1項は憲法32条に違反しない。
問題の所在(論点)
審級制度の設計に関する立法府の裁量の範囲と、少額訴訟の異議後判決に対する控訴を制限する民事訴訟法380条1項の憲法32条適合性。
規範
憲法32条は、何人も裁判所において裁判を受ける権利があることを規定するものであり、審級制度をどのように定めるかは、憲法81条の規定(最高裁判所の終審裁判所性)を除き、専ら立法政策の問題である。
重要事実
少額訴訟の判決に対する異議申し立て後の訴訟において下された判決に対し、上告人が控訴を提起した。しかし、民事訴訟法380条1項は当該判決に対する控訴を禁じていることから、上告人は同規定が裁判を受ける権利を保障する憲法32条に違反すると主張して争った。
あてはめ
憲法32条の趣旨は、司法権による権利救済の機会を保障することにあるが、具体的な審級構造までは同条から直接導かれるものではない。民事訴訟法380条1項は、迅速かつ簡便な紛争解決を目指す少額訴訟手続の目的に鑑み、手続の終局性を早期に確定させるために控訴を制限している。このような審級の限定は、合理的な立法政策の範囲内にあるといえる。
結論
民事訴訟法380条1項は憲法32条に違反しない。したがって、控訴を認めない判決は正当である。
実務上の射程
憲法32条が保障する「裁判を受ける権利」の内容を検討する際、審級制度については立法裁量が広く認められることを示す判例として活用できる。答案上は、制度の合理性が認められる限り、審級の制限は違憲とならないという論理構成の根拠として引用する。
事件番号: 昭和32(オ)86 / 裁判年月日: 昭和33年4月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事裁判において刑事責任を問うものではない以上、二重処罰の禁止を定めた憲法39条違反の主張はその前提を欠く。また、事実認定や証拠の取捨判断、第一審判決の事実摘示の引用は、上告理由としての憲法違反には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が刑事責任を問うものでないにもかかわらず、憲法39条…
事件番号: 平成12(行ツ)302 / 裁判年月日: 平成13年2月13日 / 結論: 棄却
判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由として最高裁判所に上告をすることを許容しない民訴法312条及び318条の規定は,憲法32条に違反しない。