一 自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項一条にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」とは、当該乗車用構造装置の本来の用法によつて搭乗中の者をいう。 二 普通乗用自動車の走行中、助手席の窓かち上半身を車外に出し、頭部を自動車の天井よりも高い位置まで上げ、右手で窓枠をつかみ、左手を振り上げる動作をしていた者は、自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項一条にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に当たらない。
一 自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項一条にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」の意義 二 自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項一条にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に当たらないとされた事例
商法3編10章1節1款総則
判旨
自家用自動車保険約款の「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」とは、当該装置の本来の用法によって搭乗中の者を指すと解すべきである。助手席の窓から上半身を車外に出すなど、極めて異常かつ危険な態様で搭乗していた者はこれに該当しない。
問題の所在(論点)
自動車保険約款の搭乗者傷害条項にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」の意義、および窓から上半身を乗り出す行為がこれに該当するか。
規範
「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」とは、当該乗車用構造装置をその本来の用法に従って利用し、搭乗している者をいうと解する。単に物理的に当該装置のある場所に位置しているだけでなく、装置の設置目的に即した適正な利用態様であることが必要である。
重要事実
亡Dは、普通乗用自動車の助手席に位置していたが、走行中に助手席の窓から上半身を車外に大きく突き出し、頭部を天井よりも高い位置に上げ、右手で窓枠を掴んで左手を振り上げるという動作をしていた。この状態で本件事故が発生し、保険金の支払が争点となった。
あてはめ
Dは助手席という「正規の乗車用構造装置のある場所」に位置してはいた。しかし、その搭乗態様は、窓から上半身を車外に出して手を振り上げるという、本来の座席の利用方法からは著しく逸脱したものである。このような行為は、極めて異常かつ危険な態様であり、乗車用構造装置(座席)の「本来の用法」による搭乗とは評価できない。
結論
亡Dは「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」には該当しないため、当該約款に基づく保険金の支払対象とはならない。
実務上の射程
保険約款の解釈において、文言の形式的な該当性だけでなく、制度の趣旨や合理的な意思解釈として「本来の用法」という限定を加えた点に射程がある。答案上は、危険な身の乗り出しや箱乗りなど、異常な搭乗形態が問題となる事案で、約款の被保険者該当性を否定する論拠として活用できる。
事件番号: 昭和59(オ)1063 / 裁判年月日: 昭和63年6月16日 / 結論: 棄却
荷台上にフォークリフトのフォーク挿入用の枕木等が設置してある木材運搬専用の普通貨物自動車に積載してきた木材の荷降ろし作業において、フォークリフトのフォークを右枕木により生じている木材と荷台との間隙に挿入した上、フォークリフトを操作して右木材を荷台上から反対側の材木置場に突き落としたことにより発生した人身事故は、「自動車…