市が県当局者に対し二回にわたり一人当たり一回約一万四〇〇〇円ないし約一万八〇〇〇円の酒食の接待をした場合において、右接待が市民プール建設等の事業計画についての意見調整等をする必要上行われたものであるなど原判示の事実関係(原判決引用の第一審判決参照)の下では、右接待は社会通念上相当な範囲にとどまるものであつて、その費用を市長交際費から支出したことは、違法とはいえない。
市が市長交際費をもつて県当局者を接待したことが違法とはいえないとされた事例
地方自治法2条2項,地方自治法232条1項,地方自治法242条の2第1項4号
判旨
地方自治体の交際費支出の適法性は、その支出の目的、金額、態様等が社会通念上相当な範囲にとどまるか否かによって判断される。
問題の所在(論点)
地方自治体の長が、他の行政機関の職員に対して行った接待等の交際費支出について、どのような基準でその適法性が判断されるか(裁量権の逸脱・濫用の有無)。
規範
地方自治体の長による交際費の支出は、その支出の目的、必要性、相手方、金額、態様等を総合的に考慮し、それが「社会通念上相当な範囲」にとどまるものであれば、裁量権の範囲内として適法であると解される。
重要事実
市川市(被上告人)が、市の事業計画に関して千葉県当局者との間で意見調整等を行った際に、飲食を伴う接待(本件各接待)を行い、その費用を交際費(本件交際費)として公金から支出した。これに対し、上告人らが当該支出は違法であるとして争った事案である。
あてはめ
本件各接待は、市の事業計画を円滑に進めるための意見調整という公務遂行の機会に行われたものである。その具体的な金額や回数等の詳細は判決文からは不明であるが、原審は証拠に基づき、これらが「社会通念上相当な範囲にとどまる」と認定した。最高裁もこの判断を正当として是認し、当該支出が違法であるとはいえないとした。
結論
本件各接待が社会通念上相当な範囲にとどまる以上、その費用としての交際費支出は適法である。
実務上の射程
地方自治体の交際費に関するリーディングケースである。答案上は、長の広範な裁量を認めつつも、「社会通念上相当な範囲」という規範を用いて、接待の目的や社会的儀礼としての妥当性を具体的事実(金額、場所、頻度等)から評価する際の枠組みとして活用する。
事件番号: 平成15(行ヒ)74 / 裁判年月日: 平成18年12月1日 / 結論: 棄却
1 資金前渡を受けた職員のする普通地方公共団体に債務を負担させる行為及び債権者に対する支払は,住民訴訟の対象となる「公金の支出」に当たる。 2 資金前渡を受けた職員は,その権限に基づいてした普通地方公共団体に債務を負担させる行為及び債権者に対する支払の適否が問題とされている住民訴訟において,地方自治法(平成14年法律第…
事件番号: 昭和61(行ツ)144 / 裁判年月日: 平成元年9月5日 / 結論: 棄却
一部事務組合の管理者が県当局者に対し地元の要望を伝え、両者の意思の疎通を図るため宴会による接待をした場合において、右接待が行われるに至つた経緯、右宴会に要した費用の総額が二九万円余であること、これに相当高額な芸妓花代九万円余、二次会で遊興した費用四万円余が含まれていたことなど判示の事情の下では、右接待は社会通念上儀礼の…