特許法四八条の三第一項所定の出願審査請求の期間につき民訴法一五九条一項の規定を準用ないし類推適用する余地はない。
特許法四八条の三第一項所定の出願審査請求の期間と民訴法一五九条一項の準用ないし類推適用の有無
特許法48条の3第1項,民訴法159条1項
判旨
特許法48条の3第1項所定の出願審査の請求期間の不遵守については、同法に準用規定や救済規定がない以上、民事訴訟法159条1項(現162条等に相当する追完規定)を準用または類推適用する余地はない。期間経過後は出願人の責に帰すべき事由の有無にかかわらず、同条4項により出願の取下げが擬制される。
問題の所在(論点)
特許法48条の3第1項に定める出願審査請求期間を遵守できなかった場合について、民事訴訟法の訴訟行為の追完に関する規定を準用または類推適用できるか。また、同期間は「不変期間」と同視できるか。
規範
特許法は、民事訴訟法の規定を準用する場合を個別具体的に列挙しており、期間不遵守の救済についても独自の制度を設けている。また、民事訴訟法上の追完の対象は法律が特に「不変期間」と定めたものに限られる。したがって、明文の救済規定や不変期間とする規定がない期間については、事由の如何を問わず、期間経過により画一的に手続上の効力を確定させ、法律関係の安定を図るべきである。
重要事実
特許出願人である被上告人は、特許法48条の3第1項所定の期間を経過した後に出願審査の請求を行った。これに対し特許庁長官(上告人)は、期間徒過を理由に不受理処分とした。被上告人は、期間内に請求できなかったことについて「責に帰すべからざる事由」があるとして、民事訴訟法159条1項(当時)の類推適用による追完を主張し、処分の取消しを求めた。
あてはめ
特許法は不変期間とする場合には明文(178条4項等)を置いているが、出願審査請求期間にはその規定がない。また、同法は特定の不遵守について独自の救済規定を置く一方で、本件期間については救済規定も民訴法準用規定も設けていない。これは、事由の有無を問わず期間経過により出願取下げを擬制(48条の3第4項)することで、以後の手続を明確化し、特許法律関係の安定化を図る趣旨であると解される。したがって、責に帰すべき事由の有無を審理する余地はない。
結論
民事訴訟法の追完規定を準用・類推適用することはできず、期間徒過により出願は取り下げられたものとみなされる。したがって、不受理処分の取消しを求める法律上の利益を欠き、訴えは却下されるべきである。
実務上の射程
特許法上の期間制限と救済の可否に関するリーディングケース。答案上は、特許法が「法律関係の安定」を重視し、手続の画一的処理を優先している点を示す際に活用する。行政法上の「法律上の利益」の文脈でも、手続失効による訴えの却下の根拠として参照し得る。
事件番号: 昭和49(行ツ)109 / 裁判年月日: 昭和50年9月11日 / 結論: 棄却
特許料の追納期間を徒過した場合については、訴訟行為の追完に関する民訴法一五九条の規定は、適用ないし類推適用されない。
事件番号: 昭和41(行ツ)53 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: 棄却
特許法第一五六条第一項で所定の審理終結の通知が審決書作成の日より遅れて発せられたというだけでは、右審決取消の理由とするに足りない。
事件番号: 昭和44(行ツ)67 / 裁判年月日: 昭和46年3月25日 / 結論: 棄却
特許法(大正一〇年法律第九六号)四三条五項に基づく特許権の存続期間の延長の出願に対する不許可処分の取消の訴は、右特許権の出願公告の日から二五年を経過したときは、訴の利益を欠くものとして却下すべきである。