起訴休職中の国家公務員に対し起訴事実につき無罪判決が言い渡され控訴された場合に、右起訴事実が職場内において管理職に対し暴行を加えて傷害を負わせたという公務執行妨害等であり、右判決が起訴事実のうち犯意について証拠が不十分であるとしているものの外形的事実を認めているなど判示のような事情の下においては、起訴休職処分を撤回しなかつたことは、国家賠償法一条一項にいう違法な行為には当たらない。
起訴休職中の国家公務員に対し起訴事実につき無罪判決が言い渡され控訴された場合に起訴休職処分を撤回しなかつたことが国家賠償法一条一項にいう違法な行為には当たらないとされた事例
国家賠償法1条1項,国家公務員法79条2号,国家公務員法80条2項
判旨
国家公務員の起訴休職処分及び第1審無罪判決後の休職継続の可否は任命権者の裁量に委ねられており、公務への信頼確保や職場秩序維持の観点から裁量権の逸脱・濫用が認められない限り、国家賠償法上の違法とはならない。
問題の所在(論点)
国家公務員法79条2号に基づく起訴休職処分の発令、及び第1審無罪判決後も同処分を撤回せず継続したことの是非(裁量権の逸脱・濫用の有無)。
規範
1.起訴休職(国家公務員法79条2号)は、公務への国民の信頼確保と職場秩序の保持を目的とする制度であり、処分の実施は任命権者の裁量に委ねられる。 2.処分が国家賠償法1条1項にいう違法となるのは、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に限られる。 3.第1審で無罪判決が出た場合も、当然に休職処分が終了・撤回されるものではなく、任命権者は、上記趣旨に照らして休職継続の必要性を判断する裁量を有する。
重要事実
郵政事務官である上告人は、職場内での組合闘争(物だめ闘争)中、管理職らに暴行・傷害を加えたとして公務執行妨害罪等で起訴された。これを受け、任命権者は起訴休職処分を行った。その後、第1審で暴行の故意を否定する無罪判決が言い渡されたが、検察官が控訴したため、任命権者は休職処分を継続した。上告人は、これら処分及び継続が違法であるとして国家賠償を請求した。
事件番号: 昭和62(オ)667 / 裁判年月日: 平成2年7月20日 / 結論: 棄却
一 再審により無罪判決が確定した場合であっても、裁判官がした裁判につき国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が認められるためには、当該裁判官が、違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情がある…
あてはめ
1.発令時:本件刑事事件は職場内での管理職に対する暴行等であり、有罪となれば欠格条項に該当し得る重大な事案である。報道等で世間の耳目も引いており、主として機械的作業に従事していたとしても、職務に従事させれば国民の信頼を失墜させ職場秩序を乱すおそれがある。よって、発令に裁量の逸脱はない。 2.継続時:第1審無罪判決は、物理的接触等の客観的事実は認めつつ故意を否定したにすぎない。検察官が控訴し、有罪となる可能性が残る状況下では、公務への信頼はいまだ回復しておらず、職場秩序保持の観点からも休職継続の必要性は消滅していない。よって、継続の判断も裁量の範囲内である。
結論
本件休職処分の発令及び継続は、いずれも裁量権の範囲を逸脱・濫用したものとはいえず、国家賠償法1条1項の違法性は認められない。
実務上の射程
行政処分の裁量審査に関する一般論(逸脱・濫用審査)の枠組みを、公務員の身分処分(起訴休職)に適用する際の指針となる。特に「第1審無罪後の継続」についても、起訴休職の目的に照らした裁量を認めている点に注意が必要である。
事件番号: 平成18(受)263 / 裁判年月日: 平成20年4月15日 / 結論: 破棄自判
弁護士会の設置する人権擁護委員会が受刑者から人権救済の申立てを受け,同委員会所属の弁護士が調査の一環として被害状況を目撃したとされる他の受刑者との接見を申し入れた場合において,監獄法(平成17年法律第50号による改正前のもの)45条2項の規定は,刑務所長に対し,受刑者との接見の許否を判断するに当たり親族以外の接見を求め…