公立小学校五年の児童が、放課後、担任教諭の許可を得てポスター完成作業中、同級生の飛ばした画鋲つき紙飛行機が左眼にあたつて負傷した場合に、同教諭が教室に不在であつても、同教諭が居残りを必要としない児童に速やかな帰宅を指示して職員会議に出席したものであり、画鋲つき紙飛行機を飛ばすという遊びが過去になく、また画鋲の保管管理について特に注意義務違反がないなど原判示の事実関係のもとにおいては、同教諭に監督上の過失があるとはいえない。
公立小学校五年の児童が放課後担任教諭の許可を得て学習中同級生の飛ばした画鋲つき紙飛行機が左眼にあたつて負傷した事故につき同教諭に監督上の過失がないとされた事例
国家賠償法1条1項
判旨
学校の管理下における児童の事故について、校長及び担任教諭に安全配慮義務等の注意義務違反が認められない場合には、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任は成立しない。
問題の所在(論点)
学校管理下における児童の事故に関し、校長及び担任教諭に国家賠償法1条1項上の注意義務違反(過失)が認められるか。
規範
公立学校の教育活動に伴う事故につき、教員等に国家賠償法1条1項の責任が認められるためには、当該教員等に職務上の注意義務違反(過失)が認められる必要がある。この注意義務は、事故発生の具体的な予見可能性及び結果回避可能性の有無を基準に、学校管理下における児童の安全を確保すべき義務として判断される。
重要事実
被上告人(地方公共団体)が設置する平野小学校において、学校管理下での活動中に児童が事故に遭った。上告人ら(被害児童側)は、校長及び担任教諭に事故防止のための注意義務違反があったと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めて提訴した。なお、具体的な事故の態様や発生状況の詳細については、本判決文(上告棄却決定)の記述からは不明である。
あてはめ
原審が認定した事実関係によれば、本件事故当時、校長および担任教諭が事故の発生を具体的に予見し、それを回避するための措置を講ずべき状況にあったとは認められない。証拠関係に照らし、教員らが当時の状況下で尽くすべき注意義務を怠った事実は認められず、義務違反の存在を前提とする賠償責任は否定される。したがって、原審の注意義務違反を認めなかった判断は正当である。
結論
校長及び担任教諭に注意義務違反はなく、被上告人の国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任は認められない。
実務上の射程
本判決は、学校事故における教員の過失判断について、原審の事実認定を維持する形で注意義務違反を否定した事例である。答案作成上は、国家賠償法1条1項の過失の有無を論じる際、学校側の安全配慮義務の具体的内容を、事案の状況(予見可能性・回避可能性)に即して検討するための基準として機能する。特に対象が小学校低学年か否か等、児童の属性に応じた注意義務の程度が争点となる事案で参照される。
事件番号: 平成19(受)1180 / 裁判年月日: 平成20年4月18日 / 結論: 破棄自判
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