借地法一〇条による建物買取請求権は、当該土地明渡請求訴訟における訴状送達の時から一〇年の経過によりすでに時効により消滅している。
借地法一〇条による建物買取請求権の消滅時効が認められた事例
借地法10条,民法167条
判旨
建物買取請求権の行使により成立した建物売買代金債権は、同権利を行使した時から消滅時効が進行し、10年の経過により消滅する。
問題の所在(論点)
借地法(旧法)に基づき行使された建物買取請求権によって生じた売買代金債権が、消滅時効の対象となるか、またその起算点はいつか(民法166条1項、167条1項[当時])。
規範
建物買取請求権は形成権であり、これを行使した時点で、建物について時価による売買契約が成立したものと同様の法律関係が生じる。したがって、これにより発生した建物売買代金債権は、権利を行使した時から権利を行使することができる状態にあるため、通常の債権と同様に消滅時効の対象となり、その進行は権利行使の時から開始する。
重要事実
上告人(借地人)は、被上告人(地主)による本件建物明渡訴訟の提起を受け、当該訴訟において建物買取請求権を行使した。しかし、当該請求権行使に基づき発生した代金債権について、訴状送達の時から10年が経過するまで、特段の権利行使(支払請求等)がなされないまま期間が経過した。
事件番号: 昭和41(オ)1362 / 裁判年月日: 昭和42年7月20日 / 結論: 棄却
借地法第一〇条による建物買取請求権の消滅時効期間は一〇年と解すべきである。
あてはめ
本件において、上告人らは建物明渡訴訟の訴状送達の時に建物買取請求権を行使したと認められる。この行使により、直ちに建物売買代金債権が発生し、債権者はこれを行使することが可能となった。原審が確定した事実によれば、当該行使時から10年が経過しており、この期間中に時効を中断させる等の事情も認められない。したがって、代金債権は時効期間の満了により消滅したと評価される。
結論
建物買取請求権の行使によって生じた売買代金債権は、行使時から10年の経過により時効消滅する。
実務上の射程
建物買取請求権を行使して満足するのではなく、発生した代金債権を速やかに回収、あるいは裁判上請求しなければ時効にかかるという点に実務上の注意がある。形成権自体の消滅時効(または除斥期間)の問題と、形成権行使により発生した債権の消滅時効の問題を峻別して論じる必要がある。
事件番号: 昭和52(オ)260 / 裁判年月日: 昭和52年10月24日 / 結論: 棄却
原判示の事実関係のもとでは、土地の用益について賃借意思が客観的に表現されたものとはいえず、右土地につき賃借権の時効取得は成立しない。
事件番号: 昭和27(オ)1162 / 裁判年月日: 昭和29年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法10条(現借地借家法14条)の建物買取請求権は、従来の借地権の存続中に第三者が建物等を取得した場合にのみ認められ、借地契約終了後に建物を取得した者には適用されない。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地に係る従来の土地賃貸借契約が既に終了した後に、当該土地上の建物を取得した。その後、上告人は…