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公会堂使用許可取消処分が地方自治法二四四条二項にいう正当な理由がないのに公の施設の利用を拒んだものであつて違法であるとして国家賠償責任が肯定された事例
地方自治法244条2項,地方自治法244条の2第1項,大阪市公会堂条例(昭和26年大阪市条例第73号)2条但書,大阪市公会堂条例(昭和26年大阪市条例第73号)4条2号,国家賠償法1条1項
判旨
地方自治法244条2項に基づき、公の施設の利用拒否が許される「正当な理由」の有無は、施設の設置目的や管理運営上の支障、住民の利用権の侵害の程度を総合的に考慮して判断される。本件のような公会堂の使用許可取消しが、条例の要件を欠き、かつ合理的な根拠に基づかない場合は違法である。
問題の所在(論点)
地方自治法244条2項にいう、公の施設の利用を拒むための「正当な理由」の有無、および条例に基づく使用許可取消しの適法性が問題となった。
規範
地方自治法244条2項にいう「正当な理由」があるというためには、施設の設置目的、管理運営上の支障、利用の態様、住民の利用権の侵害の程度等を総合的に考慮し、利用を拒否することがやむを得ないと認められる客観的・合理的な事情が必要である。また、条例に基づく使用許可の取消しが認められるためには、当該条例が定める要件を厳格に満たす必要がある。
重要事実
上告人(大阪市)の教育委員会は、大阪市公会堂条例4条2号および2条但書を根拠として、一旦与えた公会堂の使用許可を取り消した。これに対し、被上告人が当該取消処分の違法を訴えて争った事案である(具体的な取消理由となった事実の詳細は、本判決文の記載からは不明であるが、原審は事実認定に基づき取消しを違法と判断している)。
あてはめ
最高裁は、原審の認定した事実関係を前提として検討した。原審が、大阪市教育委員会による公会堂使用許可の取消しを、条例の適用を誤ったものであり、かつ地方自治法244条2項の「正当な理由」がないと判断した過程に、証拠の取捨判断や事実認定の違法は認められないと判断した。したがって、特段の合理的根拠なく利用を拒絶した行政庁の判断は、裁量の範囲を逸脱し違法であると評価される。
結論
本件使用許可の取消しは、地方自治法244条2項にいう正当な理由がなく、違法である。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
公の施設の利用制限に関するリーディングケース(大阪市公会堂事件)。答案では、表現の自由の不当な制限が争点となる場面で、地方自治法244条2項の「正当な理由」の解釈として援用する。特に、後の「泉佐野市民会館事件」等の判断枠組み(明らかな差し迫った危険の法理)へと繋がる基礎的な判断を示したものとして位置づけられる。
事件番号: 昭和49(行ツ)92 / 裁判年月日: 昭和53年5月26日 / 結論: 棄却
個室付浴場業の開業を阻止することを主たる目的として原判示の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいてされた知事の児童遊園設置認可処分は、たとえ右児童遊園がその設置基準に適合しているものであるとしても、行政権の著しい濫用によるものとして、国家賠償法一条一項にいう公権力の違法な行使にあたる。