(省略) (補足意見がある。)
中学校教員に対する分限免職処分が適法とされた事例
地方公務員法28条
判旨
地方公務員法28条1項3号にいう「その職に必要な適格性を欠く場合」とは、当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な遂行に支障があり、又は支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をいう。
問題の所在(論点)
地方公務員法28条1項3号に定める「その職に必要な適格性を欠く場合」の意義、および教員による再三の業務命令拒否や独善的行動が同条項に該当するか。
規範
「その職に必要な適格性を欠く場合」(地公法28条1項3号)とは、職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因して、職務の円滑な遂行に支障があり、又は支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合を指す。その判断にあたっては、当該職務の種類、内容、目的等との関連を重視すべきであり、特に義務教育を担う教員については、生徒に対する「実物教育」の垂範者としての適格性が厳格に問われる。
重要事実
中学校教員である上告人は、PTAが計画した校舎補修の連絡文書を独断で配布せず、プール建設のアンケート配布を中止させるなどして保護者との対立を招いた。また、転任先での始業式を欠席して前任校での抗議活動を行い、校長による健康診断の受診指示や給食調査の報告、生徒との昼食指導、禁煙の注意、指導要録の提出等の職務上の命令・要請を「自分の主義」として再三拒否した。さらに、正規の手続を経ない欠務や教育長への身体的接触を伴う抗議行動も認められた。これらを受け、任命権者は上告人を分限免職処分とした。
事件番号: 平成14(行ヒ)154 / 裁判年月日: 平成16年3月25日 / 結論: 破棄自判
郵便外務事務に従事していた郵政事務官が,約7年間にわたり胸章不着用,始業時刻後の出勤簿押印,標準作業方法違反,研修拒否,超過勤務拒否等を繰り返し,合計937回の指導及び職務命令,13回の注意,118回の訓告,5回の懲戒処分を受けたが,懲戒処分に対する人事院の判定が下されるまでは,懲戒処分の理由とされた非違行為を一向に改…
あてはめ
上告人の言動は、学校生活における一般的ルールを無視し、校長の注意や進言にも耳を貸さない独善的傾向が顕著である。これは、人間関係の正しい理解と協同の精神を養うという義務教育の目標に逆行し、生徒への垂範者たるべき教員の職務遂行に重大な障害となる。これらの行動は偶発的なものではなく、上告人の素質や性格に由来する持続的なものであり、かつ容易に矯正し得ない。また、保護者全体からの消極的評価も適格性判断の要素となり得る。したがって、上告人の独善的性格は教員としての適格性を欠く事由に該当する。
結論
本件分限免職処分は、上告人がその職に必要な適格性を欠く場合に該当するとした判断において適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
分限免職の適格性欠如判断におけるリーディングケースである。答案では、単なる一過性の非違行為(懲戒事由)ではなく、性格や資質に根ざした「持続性」と「矯正不能性」があることを、具体的な職務内容(本件では義務教育の特殊性)と関連付けて論じる際の規範として用いる。
事件番号: 令和4(行ヒ)7 / 裁判年月日: 令和4年9月13日 / 結論: 破棄自判
部下への暴行等の行為をした地方公共団体の消防職員が地方公務員法28条1項3号に該当するとして分限免職処分がされた場合において、次の⑴~⑶など判示の事情の下では、上記処分が違法であるとした原審の判断には、分限処分に係る任命権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。 ⑴ 上記行為の内容は、現に刑事罰を科されたも…