一、労働基準法一一四条の附加金の支払いを判決の確定後において、使用者が右附加金の支払いをしないときは、使用者は、履行遅滞の責を免れない。 二、労働基準法一一四条の附加金に対する遅延損害金の起算日は、右附加金の支払いを命じた判決確定の日の翌日である。
一、労働基準法一一四条の附加金支払義務と履行遅滞の成否 二、労働基準法一一四条の附加金に対する遅延損害金の起算日
労働基準法114条
判旨
労働基準法114条の付加金支払義務は判決確定によって初めて発生するため、確定前は遅延損害金が発生しないが、確定後の不払いについては民法所定の年5分の遅延損害金が発生する。
問題の所在(論点)
労働基準法114条に基づく付加金の支払義務はいつ発生するか。また、付加金に対して遅延損害金を請求することができるか。
規範
労働基準法114条の付加金支払義務は、裁判所がその支払を命ずる判決の確定によって初めて発生する。したがって、判決確定前においては付加金支払義務は存在せず、遅延損害金も発生しない。もっとも、判決確定後において使用者が付加金を支払わないときは、履行遅滞に基づく民法所定の年5分の割合による遅延損害金が発生する。
重要事実
上告人(労働者)は、被上告人(使用者)に対し、解雇予告手当等の未払を理由として労働基準法114条に基づく付加金の支払を求めて提訴した。上告人は、付加金本案債務に加え、第一審判決正本が送達された日の翌日から完済に至るまで、1日409円の割合による遅延損害金の支払もあわせて請求した。原審は、付加金について遅延損害金が発生する余地はないとして、遅延損害金請求部分を棄却したため、上告人が上告した。
事件番号: 昭和43(オ)1060 / 裁判年月日: 昭和43年12月19日 / 結論: 棄却
労働基準法第一一四条に基づき使用者の支払うべき付加金の支払義務は、裁判所がその支払を命ずることによつて初めて発生し、これに対する遅延損害金の起算日は該判決確定の日の翌日と解すべきである。
あてはめ
付加金支払義務は判決確定により発生する性質のものである。本件において、上告人が請求する遅延損害金のうち、付加金の支払を命じた判決の確定日までの分、および確定日の翌日以降であっても年5分を超える部分は、義務が発生していないか、または法定利率を超えるものとして認められない。しかし、判決確定日の翌日から支払済みに至るまで年5分の割合による遅延損害金の請求については、判決確定により発生した金銭債務の履行遅滞として正当に認められる。また、本件の経緯に照らせば、あらかじめ当該遅延損害金を訴求する必要性も認められる。
結論
付加金に対する遅延損害金は、判決確定日の翌日から完済まで、民法所定の年5分の割合の範囲内で認められる。原判決のうち、判決確定日の翌日から年5分の割合による遅延損害金の支払請求を棄却した部分は破棄を免れない。
実務上の射程
付加金が形成判決によって権利が確定する性質(形成訴訟説的構成)を持つことを示す重要判例である。答案上は、付加金の性質を論じる際に「判決確定時に義務が発生する」という規範を導き、請求可能な遅延損害金の始期(確定日の翌日)と利率(民事法定利率)を特定するために用いる。
事件番号: 昭和48(オ)682 / 裁判年月日: 昭和51年7月9日 / 結論: その他
一、使用者に労働基準法二〇条の違反があつても、裁判所が同法一一四条の附加金の支払を命じるまでに予告手当の支払を完了したときは、裁判所は附加金の支払を命じることはできない。 二、商人である使用者が労働者に対して負う賃金債務の遅延損害金の利率は商事法定利率によるべきである。 三、労働基準法一一四条による附加金の支払義務の履…
事件番号: 平成13(受)1709 / 裁判年月日: 平成15年10月10日 / 結論: 破棄差戻
1 使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。 2 就業規則が法的規範として拘束力を生ずるためには,その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する。