利息制限法所定の制限をこえる利息の定めのある金銭消費貸借において遅延損害金について特約のない場合には、遅延損害金は、同法一条一項所定の利率にまで減縮される利息と同率に減縮される。
利息制限法所定の制限をこえる利息の定めのある金銭消費貸借において遅延損害金について特約のない場合と遅延損害金の率
民法419条1項,利息制限法1条1項
判旨
利息制限法所定の制限を超える利息の定めがある金銭消費貸借において、遅延損害金の特約がない場合、その利率は同法1条1項所定の制限利率にまで減縮された利息と同率に制限される。
問題の所在(論点)
利息制限法所定の制限を超える利息の定めがあるが、遅延損害金の特約がない金銭消費貸借において、不履行後の遅延損害金の利率はどのように決定されるべきか。また、超過利息の元本充当の結果、残存債務額をいかに算出するか。
規範
利息制限法1条1項所定の制限を超える約定利息の定めがある場合において、別途遅延損害金の特約(同法4条)が存在しないときは、遅延損害金の利率は、同法1条1項により減縮されるべき約定利息の利率(年1割8分等)と同一の率にまで減縮されると解するのが相当である。
重要事実
被上告人(債権者)は上告人(債務者)に対し、昭和42年に元本14万5000円、利息日歩27銭、弁済期同年9月10日の約定で金員を貸し付けた。その際、弁済期までの利息として3万1380円が天引きされた。本件貸付けにおいて、遅延損害金に関する特約は存在しなかった。債務者はその後、分割で弁済を行ったが、債権者は約定の極めて高い利率に基づき残元利金の支払いを求めて提訴した。
あてはめ
本件では遅延損害金の特約がないため、損害金利率は利息制限法1条1項により制限される約定利息の利率(本件では年1割8分)に引き直される。まず、天引きされた利息のうち年1割8分を超える部分は元本の支払に充てられたものとみなされ、元本は11万8774円に減縮される。次に、その後の各弁済について、民法491条に基づき、まず制限利率内の損害金に充当し、なお剰余があれば元本に充当すべきである。この計算手法を適用すると、最終弁済日現在の元本残額は7万1545円となる。
結論
遅延損害金の特約がない場合の利率は、利息制限法1条1項の制限利率(年1割8分)に減縮される。債務者は、同利率に基づき引き直し計算された残元本7万1545円及びこれに対する遅延損害金を支払う義務を負う。
実務上の射程
利息制限法1条と4条の関係を整理する重要判例である。特約がない場合に、法定利率(民法404条)ではなく制限内の「約定利率」まで引き下げて適用する実務上の計算手法を示しており、引き直し計算の答案作成において基礎となる。
事件番号: 昭和27(オ)41 / 裁判年月日: 昭和28年5月21日 / 結論: 棄却
本件のように昭和二五年五月二〇日の貸付の日から同月末日の弁済期日後である同年九月末日までの約定利息並びにこれに相当する損害金を任意に支払つたような場合には、たとい右約定利率が利息制限法二条所定の制限利率を超えるときでも、民法七〇八条の趣旨により、その制限超過額を元本に充当することはできないものと解するを正当とする。(大…