利息制限法所定の制限をこえる利息の定のある金銭消費貸借において遅延損害金について特約のない場合には、遅延損害金は、同法第一条第一項所定の利率にまで減縮される利息と同率に減縮されると解するのが相当である。
利息制限法所定の制限をこえる利息の定のある金銭消費貸借において遅延損害金について特約のない場合と遅延損害金の率
民法419条1項,利息制限法1条1項,利息制限法4条1項
判旨
金銭債務の不履行による損害賠償額の約定がない場合に、民法419条1項但書により約定利率を基準とする際、その利率が利息制限法1条1項の制限を超えるときは、損害金の額も同条の制限利率まで減縮される。
問題の所在(論点)
損害賠償額の予定がない場合において、民法419条1項但書により損害金額を算定する際、その上限は利息制限法1条1項(利息の制限)と4条1項(賠償額予定の制限)のいずれによって画されるか。
規範
1. 消費貸借上の金銭債務において損害賠償額の予定がない場合、約定利率が法定利率を超えるときは約定利率による(民法419条1項但書)。2. 利息の約定が利息制限法1条1項の制限を超えるときは、利息額は同条の制限額に減縮される。3. この場合、損害金も当然に減縮された利率によって算定される。利息制限法4条1項(賠償額予定の制限)を基準にすることはできない。
重要事実
債権者(被上告人)は債務者(上告人)に対し、利息につき月3分5厘(年42%)および月2分(年24%)の約定で金銭を貸し付けた。損害賠償額(遅延損害金)の予定については特段の約定がなかった。原審は、利息の約定がある以上、損害金についても同一内容の約定があったと解するか、あるいは民法419条1項但書を適用し、利息制限法4条1項の制限内(1条の1.4倍、現行2倍)であれば有効であるとして、年36%および年24%の損害金の支払を命じた。
あてはめ
民法419条1項但書が約定利率による旨を定めた趣旨は、履行遅滞に陥った債務者が期限前より低い利率の負担で済むのは不当であり、債権者保護に欠ける点にある。しかし、利息制限法1条1項により利息の約定自体が制限される場合、期限前に適法に請求し得る利息は制限利率までに止まる。そうである以上、期限後の損害金についても、適法な利息額を超えて請求し得ると解する根拠はなく、当然に制限利率(年18%または年20%)まで減縮されるべきである。損害賠償額の予定に関する4条1項は、あくまで「別段の約定」がある場合に適用されるべきものであり、利息の約定から損害金を導く場合には適用されない。
結論
損害金の利率は利息制限法1条1項所定の制限利率にまで減縮される。したがって、これを超える支払を命じた原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
利息の約定はあるが遅延損害金の特約がない事案において、遅延損害金の上限を検討する際に用いる。実務上、遅延損害金の特約がない場合は「利息と同率」が原則となるが、それが利息制限法の利息の上限(15〜20%)を超えることはできないという限界を示すものである。
事件番号: 昭和39(オ)1118 / 裁判年月日: 昭和40年10月5日 / 結論: 破棄差戻
債権者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、民法第四九一条により、残存元本に充当されるものと解すべきである。