訴訟事件について和解の権限を有する訴訟代理人は、右事件が調停に付された場合、当該調停についても当然に代理権を有する。
訴訟事件が調停に付された場合と右訴訟事件につき和解の権限を有する訴訟代理人の調停手続に関する代理権の有無
民訴法81条2項,民事調停法20条
判旨
民事訴訟事件において和解の権限を有する訴訟代理人は、当該事件が調停に付された場合、その調停についても当然に代理権を有し、また農地の所有関係の紛争は農事調停の手続を要しない。
問題の所在(論点)
1. 民事訴訟事件について和解の特別授権を受けた訴訟代理人は、当該事件が調停に付された場合に当然に代理権を有するか。 2. 農地の「所有関係」の紛争は、民事調停法上の「農事調停」の手続によることを要するか。
規範
1. 民事訴訟法上の和解の代理権(旧民訴法81条、現行55条2項1号)を有する訴訟代理人は、訴訟継続中に当該事件が調停に付された場合、その調停手続についても当然に代理権を有する。 2. 農地の所有関係(権利自体の帰属)に関する紛争は、農地等の利用関係(借賃、小作権等)の紛争ではないため、民事調停法25条所定の農事調停手続によることを要しない。
重要事実
上告人は本件不動産(農地)の所有権を主張したが、原審では所有権を有しないと判断された。本件訴訟の過程で、和解権限を有する訴訟代理人が選任されていたが、事件が調停に付された際の代理権の有無、および農地を対象とする紛争について農事調停手続を経ていないことの適法性が争点となった。
あてはめ
1. 訴訟代理人は和解の権限(特別授権)を有しており、調停は和解と同様に紛争解決を目的とする手続であるから、訴訟から移行した調停についても代理権が及ぶと解するのが合理的である。 2. 民事調停法25条が農事調停を要求するのは「農地等の利用関係」の紛争に限定されている。本件は農地の「所有関係(帰属)」に関する紛争であるため、同条の適用範囲外であり、一般の調停手続で足りる。
結論
訴訟代理人の調停代理権は認められ、また本件は農事調停手続を要しないため、原判決の判断に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟代理権の範囲が、訴訟に関連する付随的・代替的手続(調停等)にどこまで及ぶかという点、および農地紛争における農事調停の必要的履践範囲(所有権争いは対象外)を画定する際に活用できる。
事件番号: 昭和25(オ)29 / 裁判年月日: 昭和27年2月8日 / 結論: 棄却
一 調停において、当事者の一方が相手方に譲渡することを約した特定の土地が、当時他人の所有であつたからとて、単にそれだけでは、右調停は履行不能により無効であるということはできない。 二 一旦、調停の成立した法律関係につきその後再度の調停申立がなされ裁判所が戦時民事特別法第一九条、金銭債務臨時調停法第七条による調停に代わる…
事件番号: 昭和40(オ)493 / 裁判年月日: 昭和41年2月1日 / 結論: 棄却
不動産登記簿上の地目が農地になつている土地であつても、現況が宅地であれば、農地ではない。
事件番号: 昭和36(オ)1090 / 裁判年月日: 昭和38年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】調停による合意において、訴訟終了の合意と新たな売買契約が併存する場合、当事者が売買契約の解除が訴訟終了の効果に影響を及ぼさない趣旨で合意したときは、売買契約の不履行により解除されても訴訟終了の効果は維持される。 第1 事案の概要:上告人と被上告人は、土地所有権をめぐる訴訟において調停を成立させた。…