鑑定申立却下の決定は、民訴法四一九条ノ二第一項にいう「不服ヲ申立ツルコトヲ得サル決定及命令」に当たらないものと解するのが相当である。
証拠決定と民訴法四一九条ノ二第一項にいう「不服ヲ申立ツルコトヲ得サル決定及命令」
民訴法259条,民訴法419条ノ2
判旨
鑑定申出却下の決定に対しては、終局判決に対する上訴においてその当否を争うことができるため、民事訴訟法337条1項(旧419条の2第1項)の特別抗告の対象となる「不服を申し立てることができない決定」には当たらない。
問題の所在(論点)
証拠調べの申出(鑑定申出)を却下する決定が、民事訴訟法上の「特別抗告の対象となる決定(不服を申し立てることができない決定)」に該当するか。
規範
最高裁判所に特別抗告を申し立てることができるのは、裁判所法および民事訴訟法が認める場合に限られる。民事訴訟法337条1項(旧419条の2第1項)にいう「不服を申し立てることができない決定」とは、その決定自体に対して独立の不服申立てが許されないだけでなく、後の終局判決に対する上訴によってもその当否を争うことができない決定を指す。
重要事実
抗告人は、原審がなした鑑定申出却下の決定に対し、憲法違反を理由として最高裁判所に特別抗告を申し立てた。抗告人は、証拠調べに関する決定が直ちに独立の不服申立てを許さないものであることから、これが特別抗告の対象となる裁判に該当すると主張した。
事件番号: 昭和30(し)45 / 裁判年月日: 昭和30年10月29日 / 結論: 棄却
本件証拠請求却下の決定のように訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴四三三条一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当らない(昭和二九年(し)第三七号、同年一〇月八日第三小法廷決定、集第八巻一〇号一五八八頁)。
あてはめ
鑑定申出の却下決定は、それ自体に対して独立の抗告をすることはできないが、その当否は、後に言い渡される終局判決に対する控訴または上告という通常の上訴手続の中で、付随的に争うことが可能である。このように、後日の上訴によって救済の機会が保障されている決定は、手続の遅延を防止する観点から、憲法違反を理由とする特別抗告によって直ちに最高裁判所の判断を仰ぐべき「不服を申し立てることができない決定」には当たらないと解するのが相当である。
結論
鑑定申出却下の決定は特別抗告の対象とならないため、本件抗告は不適法として却下される。
実務上の射程
訴訟手続中の派生的な決定(証拠申出の採否等)については、中間抗告が制限されている趣旨を尊重し、特別抗告の門戸も限定的に解する。答案上は、特別抗告の適法性を論じる際、当該決定が「終局判決に対する上訴で争えるか」という基準を用いる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和40(ク)328 / 裁判年月日: 昭和42年3月6日 / 結論: 棄却
民訴法第四一九条ノ二、裁判所法第七条第二号の規定は、憲法第三二条に違反しない。
事件番号: 昭和38(ク)12 / 裁判年月日: 昭和39年1月28日 / 結論: 却下
競売手続においての利害関係人を定める民訴法第六四八条の規定は、憲法第三二条所定の裁判を受ける権利があるかどうかとはなんら関係がない。
事件番号: 昭和42(ク)28 / 裁判年月日: 昭和42年3月29日 / 結論: 却下
高等裁判所が抗告審としてなした決定に対し、民訴法第四一三条による再抗告は許されない。
事件番号: 昭和38(ク)332 / 裁判年月日: 昭和38年10月11日 / 結論: その他
競売手続開始決定に対する異議申立の棄却決定に対しては、民訴法第五五八条、裁判所法第一六条第二号により高等裁判所に即時抗告をすることができるのであり、このように不服申立ができる場合には、たとい原決定に憲法解釈の誤りがあることその他憲法の違背あることを理由としても、民訴法第四一九条ノ二による特別抗告の申立は許されない。