自動車損害賠償保障法一〇条所定の道路以外の場所のみにおいて運行の用に供するため同法五条の適用はなく、運転免許も自動車登録も必要ではなく、税法上の減価償却資産中の機械設備として取り扱われている自動車であつても、同法三条の適用は排除されない。
自動車損害賠償保障法一〇条所定の道路以外の場所のみにおいて運行の用に供するため同法五条の適用はなく運転免許も自動車登録も必要ではなく税法上減価償却資産中の機械設備として取り扱われている自動車と同法三条
自動車損害賠償保障法3条,自動車損害賠償保障法5条,自動車損害賠償保障法10条
判旨
自動車損害賠償保障法2条2項にいう「運行」には、工場敷地内等の道路以外の場所のみで自動車を当該装置の用法に従い用いる場合も含まれるため、作業所内での事故であっても同法3条の賠償責任を負う。
問題の所在(論点)
自賠法2条2項にいう「運行」の意義、および工場敷地内等の「道路以外の場所」のみで使用される自動車について同法3条が適用されるか。
規範
自動車損害賠償保障法2条2項の「運行」は、道路運送車両法上の概念よりも広く解すべきであり、工場敷地内や公園等の「道路以外の場所」のみにおいて自動車を当該装置の用法に従い用いる場合を包含する。また、同法10条により強制保険(5条)の適用がない車両であっても、3条の運行供用者責任の適用は排除されない。
重要事実
上告会社Eの従業員Fが、会社所有のショベルローダを会社の作業所内(私有地)で運転中、訴外Dを轢いて死亡させた。当該車両は道路運送車両法上の自動車に該当するが、もっぱら作業所内のみで使用されていた。上告会社は、道路以外の場所での使用や、免許・登録が不要な重機であることを理由に、自賠法3条の適用を争った。
あてはめ
本件ショベルローダは自賠法2条1項の自動車に該当する。上告会社は作業所内という道路以外の場所でこれを使用していたが、同条2項の「運行」は場所を限定せず、当該装置の用法に従った使用を含むため、作業所内での稼働も「運行」に当たる。また、強制保険加入義務がないことや、税法上の扱い、免許・登録の要否といった事情は、人身事故における被害者保護を目的とする同法3条の責任を左右するものではない。したがって、上告会社は自己のため本件ローダを運行の用に供するものといえる。
結論
上告会社は自賠法3条所定の運行供用者責任を負う。本件ローダが道路以外の場所でのみ運行されていたとしても、その責任は免れない。
実務上の射程
自賠法上の「運行」概念の場所的適用範囲が「道路」に限定されないことを明示した重要判例である。答案上は、私有地内(工場、建設現場、駐車場等)での特殊車両による事故において、自賠法3条の成否を検討する際の規範として活用する。
事件番号: 昭和39(オ)723 / 裁判年月日: 昭和41年4月15日 / 結論: 棄却
自動車の修理等を目的とする会社の自動車修理見習工が会社の事業に使用する自動車を私用のため運転した場合、その運転中に起こした事故により与えた損害については、特別の事情のないかぎり、自動車損害賠償保障法第三条により、会社に賠償責任がある。