商品の先物取引において、仲買人は、商品の売付け又は買付けの委託を受けた場合に、取引が終了するまでは、反対売買等につき新たな合意を要することなく、委託者の指図に従う義務がある。
商品の先物取引において仲買人が委託者の指図に従う義務
商法552条2項,民法644条
判旨
商品取引所の先物取引における委託契約は、反対売買により取引が終了するまで継続する性質を有するため、受託者(仲買人)は、委託者からの売却の指図に対して承諾の意思表示をすることなく、当然にその指図に従う義務を負う。
問題の所在(論点)
先物取引の委託契約において、委託者が受託者に対して行う反対売買(売却)の指図に対し、受託者が売却義務を負うためには、受託者による個別の承諾が必要か。
規範
商品取引所の先物取引に関する委託契約は、反対売買による差金決済等を目的とするものであるから、取引が終了するまで継続する。したがって、受託者は委託者から売却の指図があれば、当然にこれに従う義務を負い、義務の発生に受託者の個別の承諾を要しない。
重要事実
委託者が、商品取引所の仲買人(受託者)に対し、先物取引における商品の買付けを委託した。その後、委託者は当該商品について売却(反対売買)の指図をしたが、受託者がこの指図を承諾していなかったことから、受託者に売却義務が生じているか否かが争われた。
あてはめ
先物取引の委託は、当初の売買のみならず、その後の反対売買による利益収受までを目的とする一連の契約である。本件においても、当初の買付け委託により契約が成立し、取引終了まで継続している。そうであれば、委託者による売却の指図は、契約内容に基づく指示にすぎず、受託者の承諾を待たずして、受託者は契約上の義務としてこれに従うべきといえる。
結論
受託者は、委託者からの売却の指図があれば、これを承諾しなくとも当然に売却義務を負う。
実務上の射程
継続的委託契約における受託者の義務の範囲を画した判例である。答案上は、先物取引に限らず、反対売買を予定した投資取引等において、受託者の裁量を否定し、委託者の指図権の優越を基礎付ける際に活用できる。
事件番号: 昭和44(オ)729 / 裁判年月日: 昭和44年10月28日 / 結論: 棄却
名古屋穀物商品取引所受託契約準則一六条に違反して委託証拠金なしに信用取引により穀物が売買されても、右違反は、商品仲買人と委託者との間の契約の効力に影響を及ぼすものではない。