土地に対する使用貸借上の借主の権利の時効取得が成立するためには、土地の継続的な使用収益という外形的事実が存在し、かつ、その使用収益が土地の借主としての権利の行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されていることを必要とする。
土地使用借権の取得時効の要件
民法163条,民法593条
判旨
土地の使用貸借権の時効取得には、土地の継続的な使用収益という外形的事実の存在と、それが借主としての権利行使の意思に基づくものであることの客観的表現が必要である。
問題の所在(論点)
使用貸借という無償の債権的利用権が時効取得の対象となるか、また、その成立にはどのような要件が必要となるか(民法163条の「所有権以外の財産権」への該当性と要件)。
規範
土地の使用貸借上の借主の権利を時効取得するためには、①土地の継続的な使用収益という外形的事実が存在し、かつ、②その使用収益が土地の借主としての権利の行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されていることを要する。
重要事実
上告人は、本件土地を利用して建物を所有していたが、その使用収益の法的根拠や時効取得の起算点について争いが生じた。上告人は、建物の所有権保存登記を経由する以前の段階から、本件土地を自己の権利として使用収益しており、使用貸借権を時効取得したと主張した。
事件番号: 昭和41(オ)991 / 裁判年月日: 昭和44年7月8日 / 結論: 破棄差戻
他人の土地の用益がその他人の承諾のない転貸借に基づくものである場合において、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときは、その土地の賃借権ないし転借権を時効により取得することができる。
あてはめ
本件では、上告人が本件建物につき所有権保存登記を経由した日より以前の時点が問題となった。しかし、その時点においては、土地を継続的に使用収益しているという外形的事実(要件①)や、それが借主としての権利行使の意思に基づくものであるという客観的な表現(要件②)を充たすような態様での使用収益があったとは認められない。したがって、時効取得の要件を欠くといえる。
結論
上告人による本件土地の使用貸借権の時効取得は認められない。
実務上の射程
賃借権の時効取得に関する判例(最判昭43・10・8)と同様の枠組みを使用貸借にも認めたものである。答案上は、債権であっても「継続的な権利行使」と「外形的表現」があれば時効取得の対象となり得ることを示しつつ、所有権保存登記等の対抗要件や確実な占有事実の有無で要件の充足性を判断する。
事件番号: 昭和40(オ)1287 / 裁判年月日: 昭和41年4月15日 / 結論: 棄却
地代請求訴訟における請求棄却の確定判決の既判力は、その判決理由中に示された当該土地賃貸借契約の存否の判断について生ずることなく、また、その既判力標準時以前の過去の時点における当該地代請求権の存否についてまで及ぶものではない。
事件番号: 昭和37(オ)1439 / 裁判年月日: 昭和38年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】期間の定めのない土地賃貸借において、借地法附則17条1項により契約が終了する場合であっても、借地人が土地の使用を継続する際に賃貸人が遅滞なく異議を述べないときは、民法619条1項の類推適用により契約が更新される。 第1 事案の概要:上告人の前主であるDと被上告人との間で、期間の定めのない土地賃貸借…
事件番号: 昭和36(オ)976 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
登記のない建物については「建物保護ニ関スル法律」は適用されない。