債務者所有の不動産が譲渡担保とされ所有権移転請求権保全の仮登記がされたというだけでは、いまだ債務者において右不動産の不法占有者に対する明渡及び賃料相当損害金の請求が許されないわけではない。
譲渡担保として債務者所有の不動産に所有権移転請求権保全仮登記がされた場合における債務者から右不動産の不法占有者に対する明渡及び賃料相当損害金請求の許否
民法200条,民法369条
判旨
当事者間に争いのない事実に反する主張や、原審の専権に属する証拠の取捨選択・事実認定を非難する上告理由は、上告を正当化する理由とはならない。
問題の所在(論点)
当事者間に争いのない事実と異なる事実を前提とする主張、及び原審の証拠選択・事実認定を非難する主張が、有効な上告理由となるか。
規範
1.民事訴訟において当事者間に争いのない事実は、裁判の基礎としなければならず、これに反する事実を前提とする主張は採用されない。2.証拠の取捨判断及び事実の認定は、特段の事情がない限り原審の専権に属し、これらを不当に非難するものは適法な上告理由に当たらない。
重要事実
上告人は、原審が認定した事実関係や証拠の取捨選択に違法があると主張して上告した。具体的には、原判決の証人表示の誤記や、本件建物の所有権の帰属について、当事者間に争いのない事実とは異なる主張を援用し、建物の明渡し及び賃料相当損害金の支払を命じた原審の判断の取り消しを求めた。
事件番号: 昭和25(オ)66 / 裁判年月日: 昭和27年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定の矛盾を理由とする判決理由の齟齬の主張に対し、原審が認定した事実は相互に矛盾せず同時に認定可能であるとして、上告を棄却した判例である。 第1 事案の概要:上告人は、原審が認定した各事実が相互に相容れないものであると主張し、そのような矛盾する事実を同時に認定した原判決には理由の齟齬があるとし…
あてはめ
本件建物の所有権が被上告人に属することは当事者間に争いのない事実として認められており、これに反する上告人の主張は理由がない。また、原判決における証人の肩書きに関する誤記は判決の結果に影響を及ぼす違法ではなく、その他の論旨も結局のところ原審の専権事項である証拠の取捨選択や事実認定を非難するものにすぎない。
結論
本件上告は棄却される。原審が適法に確定した事実関係に基づく建物明渡し及び損害金請求の認容は正当である。
実務上の射程
自白の拘束力(民訴法179条参照)や上告審における事実認定の制約を確認する事例である。実務上、一審・二審で争わなかった事実を上告審で覆すことの困難さを示すものとして位置づけられる。
事件番号: 昭和38(オ)1137 / 裁判年月日: 昭和40年3月26日 / 結論: 棄却
甲乙の共有にかかる家屋について、甲が乙の作成名義を偽造して、売買による前所有権の移転登記をした場合において、甲の共有持分に関しては、右偽造による登記の無効を生ずることはない。
事件番号: 昭和31(オ)967 / 裁判年月日: 昭和32年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を争うにすぎない場合、原判決に影響を及ぼす明らかな法令の違背があるとは認められないため、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人らが原審による事実認定の不当を主張して上告を提起したが、その主張は原審の適法な事実認定を争うにとどまるものであった。 第2 問題の所在(…
事件番号: 昭和26(オ)650 / 裁判年月日: 昭和27年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法14条違反を主張していても、その実質が原審の証拠判断や事実認定を非難するにすぎない場合は、正当な違憲の主張には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の証拠判断および事実認定を不服とし、これが憲法14条(法の下の平等)に違反する旨を主張して上告を申し立てた。しかし、その主張の具体的な内容…
事件番号: 昭和33(オ)448 / 裁判年月日: 昭和33年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の証拠取捨や事実認定を非難するにすぎない場合、それは適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が引用する第一審判決の事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。具体的には、原審の証拠の取捨選択およびそれに基づく事実認定を非難する内容を上告理由として主張した。 …