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抗告期間経過後の申立であることを理由に抗告を却下した決定に対する不服申立が特別抗告の申立でなくして再審抗告の申立であるとされた事例
民訴法429条,民訴法419条ノ2,民訴法420条1項9号
判旨
不服申立の書状に「特別抗告」の記載があっても、その実質が「責めに帰すべからざる事由」による抗告期間徒過を理由とする原決定の取消しを求めるものである場合は、再審抗告の申立てと解するのが相当である。
問題の所在(論点)
抗告期間徒過を理由とする却下決定に対し、追完事由を主張して不服を申し立てた場合、その申立てをいかなる性質のものとして扱うべきか。また、その管轄裁判所はどこか。
規範
不服申立書の標題や文言が「抗告」や「特別抗告」となっていても、その主張の実質が「自己の責めに帰すべからざる事由」による期間徒過等の追完事由(旧民訴法159条、現行97条)を主張し、確定した却下決定の取消しと再審理を求めるものであるときは、特別抗告ではなく、準再審の規定(旧民訴法429条、現行349条)を準用する「再審抗告」の申立てと解すべきである。この場合、当該申立ての審判は、不服申立ての対象となった決定をした裁判所の専属管轄に属する。
重要事実
申立人は裁判官に対する忌避申立却下決定に対し即時抗告をしたが、台風接近による交通遮断や郵便局の休業により抗告状の提出が遅れ、抗告裁判所(福岡高裁宮崎支部)により抗告期間徒過として却下された。申立人は、この却下決定に対し最高裁判所に不服を申し立てた。申立書には「特別抗告」の語が含まれていたが、内容は台風による期間徒過は「責めに帰すべからざる事由」に当たると主張し、原決定の取消しを求めるものであった。高裁はこれを最高裁判所への特別抗告と解して事件を送付した。
事件番号: 昭和26(ク)35 / 裁判年月日: 昭和26年5月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断の不当を理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、その抗告理由は、原決定における憲法解釈の不当を指摘するもの…
あてはめ
申立人の主張は、憲法違反を主張する特別抗告ではなく、台風という不可抗力により期間を遵守できなかったという「責めに帰すべからざる事由」があることを理由に、先行する却下決定の効力を争うものである。これは実質的に再審事由を主張して決定の取消しを求める「再審抗告」に該当する。高裁は追完事由の有無について職権調査を尽くさず却下決定をしており、本件申立てはこれに対する再審の訴えに準じて扱われるべきである。再審の管轄は元の決定をした裁判所であるため、最高裁判所ではなく福岡高裁宮崎支部が管轄権を有する。
結論
本件申立ては特別抗告ではなく再審抗告と解すべきであり、専属管轄を有する福岡高等裁判所宮崎支部へ移送する。
実務上の射程
当事者の形式的な書面の標題にとらわれず、主張の実質を把握して申立ての性質を決定すべきとする解釈指針。期間徒過後の救済を求める事案において、特別抗告として最高裁に送付するのではなく、まずは原裁判所(または抗告裁判所)が追完事由の有無を審理すべきであることを示している。
事件番号: 昭和26(ク)10 / 裁判年月日: 昭和26年5月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は原決定における憲法判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合する…
事件番号: 昭和26(ク)207 / 裁判年月日: 昭和26年12月3日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定における憲法解釈の不当を理由とする場合に限られ、旧民訴法413条に基づく抗告は認められない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由は原決定における憲法解釈の不当を主張するものではなく…
事件番号: 昭和28(ク)176 / 裁判年月日: 昭和28年9月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特別の定めがある場合に限られ、民事事件においては憲法適合性の判断に関する不服申し立て(特別抗告)のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人等が、下級審の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告人は、原決定(下級審の判断)が憲法に適合…
事件番号: 昭和25(ク)144 / 裁判年月日: 昭和26年2月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行336条1項)に規定する憲法判断の不当を理由とする抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して民事事件の抗告を申し立てた事案。しかし、その抗告理由におい…