一、中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は、商法上の商人にあたらない。 二、中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合の商人たる組合員に対する貸金債権には、商法五〇三条、三条一項により、同法五二二条が適用される。
一、信用協同組合の商人性 二、信用協同組合の商人たる組合員に対する貸金債権と商事消滅時効
中小企業等協同組合法1条,中小企業等協同組合法9条の8,商法4条,商法522条
判旨
信用協同組合は商法上の商人に当たらないが、組合が商人である組合員に対して貸付を行う場合、その貸付債権には商法522条の消滅時効が適用される。
問題の所在(論点)
信用協同組合が商法上の商人に該当するか、および信用協同組合による商人たる組合員への貸付債権に商法522条(商事消滅時効)が適用されるか。
規範
中小企業等協同組合法に基づく信用協同組合は、営利を目的とするものではないため商法上の商人に当たらない。しかし、同法が商法の特定条文を準用する旨を定めている場合を除き商法の適用が全面的に排除されるわけではない。したがって、信用協同組合が商人である組合員に対して貸付を行う行為は、相手方にとって営業のための行為(附属的商行為)となるため、商法503条・3条1項に基づき、当該貸付によって生じた債権には商法522条(現行民法166条1項等参照)の商事消滅時効が適用される。
重要事実
中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合(上告人)が、商人である組合員に対して貸付を行った。この貸付金の返還請求権について、商事消滅時効(当時の商法522条により5年)が成立するかが争点となった。
あてはめ
まず、信用協同組合は営利目的を欠くため商法上の商人ではない。しかし、貸付の相手方が商人である場合、当該貸付は相手方にとって「その営業のためにする」行為と推定され(商法503条)、附属的商行為に該当する。一方の当事者にとって商行為となる場合、商法3条1項により原則として当事者双方に商法が適用される。本件貸付は商人である組合員にとっての商行為である以上、信用協同組合が商人でないとしても、当該貸付債権には商事時効に関する商法522条が適用されると解される。
結論
信用協同組合が商人たる組合員に貸し付けた債権には、商法522条の適用があり、5年の商事消滅時効にかかる。
実務上の射程
非営利法人であっても、商人である相手方との間で行った取引が「一方的商行為」となる場合には、商法3条の適用により商事消滅時効が認められることを示した点に意義がある。現行法下(民法改正後)では時効期間の統一により重要性は減じたが、商行為の該当性判断や商法の適用範囲を検討する際の基礎的な法理として機能する。
事件番号: 昭和46(オ)492 / 裁判年月日: 昭和47年2月24日 / 結論: 棄却
一、開業準備行為が商行為となるためには、それが客観的にみて開業準備行為と認められうるものであるごとを要し、単に金銭を借り入れるごとき行為は、特段の事情のないかぎり、これを商行為とすることはできない。 二、営業を開始する目的をもってする単なる金銭の借入れも、取引の相手方がその事情を知悉している場合には、これを附属的商行為…