貸金号の届出が受理された者がなす場合でも金融行為自体は商行為ではない。
貸金業の届出が受理された者のなす金融行為は商行為か
旧貸金業等の取締に関する法律(昭和24年法律170条)3条,商法501条,商法502条
判旨
貸金業法に基づく届出をした貸金業者であっても、その金融行為自体が当然に商行為となるわけではなく、当該貸金業者が直ちに商法上の商人に該当するとは認められない。
問題の所在(論点)
貸金業法上の届出を受理された貸金業者が行う貸付行為が当然に商行為(商法501条、502条)に該当し、当該業者は当然に商法上の商人に該当するか。
規範
貸金業等の取締に関する法律(当時)に基づき貸金業の届出を受理された者であっても、その金融行為が当然に商法501条(絶対的商行為)または502条(営業的商行為)に該当するものではない。したがって、届出業者が行う貸金行為が当然に商行為となるわけではなく、当該業者が当然に商法上の商人と認められるものでもない。
重要事実
金融業者である上告人が、被上告人に対し金銭を貸し付け、期限後の損害金として「100円につき1日50銭」の約定を交わした。上告人が貸金業の届出を完了した業者であることは当事者間に争いがなかったが、原審は、上告人が商人であることを前提とした商法施行法117条(当時)の適用を否定し、旧利息制限法5条を適用して損害金を年1割の限度に減額した。これに対し上告人が、自らは届出業者(商人)であるから商事法の適用を受けるべきであると主張して上告した。
あてはめ
貸金業の届出は行政上の監督を目的とするものであり、届出の事実から直ちにその者のなす金融行為が商法上の商行為としての性質を帯びるものではない。本件において、上告人が届出業者である事実は認められるものの、当該消費貸借が商法施行法117条にいう「商事」に該当すると認めるに足りる証拠はない。したがって、商事法の適用を排し、旧利息制限法5条により遅延損害金を裁判所の裁量で減額した原審の判断は、結論において正当である。
結論
貸金業の届出を受けた金融業者であっても当然に商人とはいえず、その貸付行為が当然に商行為となるものではない。したがって、旧利息制限法の適用による損害金の減額は適法である。
実務上の射程
行政上の届出や免許の有無と、商法上の商人性(営業性)や行為の商行為性は別個に判断されるべきであるという準則を示す。答案上は、貸金業者の行う行為が「営業として」行われているか(商法502条8号)を判断する際、単なる行政上の届出の有無だけでなく、客観的な営利性の有無を慎重に検討すべき根拠として機能する。
事件番号: 昭和31(オ)802 / 裁判年月日: 昭和34年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事判決において認定された事実であっても、民事裁判所はこれに拘束されるものではなく、自由心証主義に基づき独立して事実を認定することができる。 第1 事案の概要:上告人と被上告人等との間における消費貸借の成否が争われた事案。上告人は、刑事判決において本件に関わる特定の事実認定がなされていることを根拠…