商人が雇主として締結する雇傭契約は、その営業のためにするものと推定すべきである。
雇用契約と附属的商行為
商法503條
判旨
商人の行為は、商法503条2項によりその営業のためにするものと推定されるため、反証のない限り商行為として取り扱われる。
問題の所在(論点)
商人が行う雇傭等の行為が商行為にあたるか否かを判断する際、商法503条2項の推定規定をどのように適用すべきか。
規範
商人の行為は、その営業のためにするものと推定される(商法503条2項)。したがって、商人である者が行った行為について、それが営業のためではないという反証がなされない限り、当該行為は補助的商行為(同条1項)としての性質を有するものと解すべきである。
重要事実
上告人(商人)が行った金銭貸借および雇傭関係に基づく給料支払の有無が争われた。原審は、当該雇傭について上告人が営業のためにする行為であると認定したが、その具体的な証拠の提示を欠いていたため、理由不備の違法があるか否かが上告審で争点となった。
あてはめ
本件において上告人は商人である。原判決は雇傭が営業のための行為であると認定する際に証拠を掲げていないものの、商法503条2項により、商人の行為は一般に営業のためにするものと法律上推定される。本件記録上、この推定を覆すに足りる「営業のためではない」という反証が上告人からなされた事実は認められない。したがって、当該雇傭行為は商人の営業のための行為と推定され、商行為に該当すると解するのが正当である。
結論
商人の行為は営業のためにするものと推定されるため、反証がない本件においては商行為にあたるとした原審の判断は、結論において正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
商法503条2項の推定規定の働きを簡潔に示した判例である。答案上は、ある行為が「営業のために」なされたか不明確な場合でも、主体が「商人」でありさえすれば、相手方において営業関連性を立証せずとも、同条2項により商行為性を導けるという立証責任の転換の文脈で使用する。
事件番号: 昭和27(オ)882 / 裁判年月日: 昭和30年9月27日 / 結論: 棄却
貸金号の届出が受理された者がなす場合でも金融行為自体は商行為ではない。