貸金業の届出を受理された者のなした消費貸借であっても、商法施行法第一一七条(削除前)にいう商事にはあたらない。
貸金業者のなした消費貸借は商法施行法第一一七条(削除前)にいう商事にあたるか。
貸金業等の取締に関する法律3条,商法4条,商法502条,商法施行法117条(削除前)
判旨
貸金業の届出を受理された事実のみをもって、その者が行う金融行為が当然に商行為となるわけではなく、当該貸金業者を直ちに商人と認めることはできない。
問題の所在(論点)
貸金業の届出を受理された者が行う貸付行為は、当然に商行為に該当し、その者は商人と解されるか(商法4条1項、501条、502条の適用範囲)。
規範
行政上の貸金業の届出を受理されているという公法上の事実は、その者が行う個別の金融行為の私法上の性質(商行為該当性)を決定づけるものではない。したがって、届出の有無にかかわらず、当該行為が商法501条や502条の商行為に該当するか、あるいは当該貸金業者が商法4条1項の商人に該当するかは、実態に即して個別に判断されるべきである。
重要事実
附帯上告人Bは、貸金業の届出を受理された業者であった。Bが行った本件消費貸借契約について、Bが貸金業者である(商人である)ことを前提に、当該貸付行為が商行為に該当し、商事法定利率等の商法の規定が適用されるべきかが争点となった。
あてはめ
本件において、附帯上告人Bは貸金業の届出を受理されていた。しかし、判例によれば、かかる届出の事実は公法上の監督対象であることを示すにすぎず、その者がなす金融行為自体を当然に商行為化させる法的効果はない。したがって、本件消費貸借が商行為であると直ちに断定することはできず、Bを商人として扱う前提も欠いているといえる。
結論
貸金業の届出を受理された者であっても、そのなす金融行為が当然に商行為となるものではなく、商人と認めることもできない。本件消費貸借を商事とみることはできない。
実務上の射程
貸金業届出という形式的事実だけでは商人性を肯定できないことを示した。答案上では、非営利者による一時的な貸付や、形式的に届出があるだけの知人間融資などにおいて、商法適用を否定する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)882 / 裁判年月日: 昭和30年9月27日 / 結論: 棄却
貸金号の届出が受理された者がなす場合でも金融行為自体は商行為ではない。