利息月八分の約定があつても、これがため消費貸借自体を無効と解すべきでない。
利息制限法違反の利息の約定ある消費貸借の効力
利息制限法(明治10年太政官布告66号)2条
判旨
金銭消費貸借契約において利息制限法の制限を超える利息の約定がある場合でも、当該約定が直ちに消費貸借契約全体の無効を招くものではない。
問題の所在(論点)
利息制限法に違反する高利の利息約定が付された場合、主契約たる金銭消費貸借契約全体の効力に影響を及ぼし、契約全体が無効となるか。
規範
金銭消費貸借契約において利息制限法の制限を超える利息の特約がなされたとしても、法が制限するのは超過部分の効力に留まる。したがって、当該特約の存在をもって消費貸借契約自体が無効となることはない。
重要事実
上告人と相手方との間で金銭消費貸借契約が締結された際、利息を「月8分」とする約定がなされた。この利息率は利息制限法の定める制限を超過するものであったため、上告人は当該約定の違法性を理由に、消費貸借契約自体の無効等を主張して争った。
あてはめ
本件における「月8分」という利息約定は、利息制限法に照らして明らかに超過利息である。しかし、同法の趣旨は公序良俗に反する高利を制限することにあり、制限を超える利息特約の効力を否定するにとどまる。本件原審においても、超過部分の特約の効力は認められておらず、利息約定のみが法によって修正されるため、金銭を授受し返還を約する消費貸借の基本合意部分までが無効になるわけではない。
結論
利息制限法違反の特約があっても、消費貸借契約自体は有効に存続する。
実務上の射程
契約の一部が公序良俗や強行法規に反する場合の「一部無効」の理法を、利息制限法との関係で確認した射程を持つ。答案上は、利息制限法1条等の適用場面において、超過利息の支払義務を否定しつつ、元本返還義務(消費貸借の有効性)を肯定する根拠として用いる。
事件番号: 昭和33(オ)207 / 裁判年月日: 昭和34年5月8日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第五条第一項の規定は、日歩三〇銭を超えない利息の約定または賠償額の予定について、利息制限法の適用を除外する趣旨ではない。