農業協同組合連合会は、民法第一七三条第一号にいう生産者および卸売商人にあたらない。
農業協同組合連合会は民法第一七三条第一号にいう生産者および卸売商人にあたるか。
農業協同組合法5条,農業協同組合法10条,民法173条,商法4条,商法501条,商法502条
判旨
農業協同組合連合会が行う産物の販売行為は営利を目的とする商行為に当たらず、その代金債権は民法173条1号(旧法)の「生産者」または「卸売商人」が売却した産物の代価には該当しない。
問題の所在(論点)
農業協同組合連合会が有する産物の販売代金債権について、民法173条1号(旧法)にいう「生産者」または「卸売商人」が売却した産物の代価として、短期消滅時効の適用があるか。
規範
農業協同組合は、農業協同組合法8条により、組合員のために最大の奉仕をすることを目的とし営利を目的として事業を行ってはならないとされる。したがって、その事業は商法上の営業ではなく、その行為も商人の営業としてする商行為には当たらない。ゆえに、民法173条1号(旧法)の適用において、同組合を「生産者」や「卸売商人」に準じて取り扱うことはできない。
重要事実
被上告人である農業協同組合連合会が、豚肉を販売しその代金を請求した。これに対し、上告人(買主)側は、当該豚肉が実質的には傘下組合員(生産者)のものであること、また組合の活動は営利的な代行性格を有することを理由に、当該代金債権は民法173条1号(旧法)所定の2年の短期消滅時効にかかると主張して争った。
あてはめ
まず、契約上の売主は連合会自身であり、仮に産物が組合員の生産に係るものであっても連合会を「生産者」とはいえない。次に、農協法上、組合は営利を目的とすることが禁止されている(同法8条)。この非営利性ゆえに、組合の活動は商法上の営業には該当せず、組合自体を卸売商人に準ずるものとして商法や商法施行法の規定を準用・適用することはできない。したがって、本件債権に短期消滅時効の規定は適用されない。
結論
農業協同組合連合会の代金債権は、民法173条1号(旧法)の「生産者」または「卸売商人」の債権に該当せず、短期消滅時効は適用されない。
実務上の射程
本判決は旧民法の短期消滅時効に関するものであるが、農業協同組合の非営利性を根拠に、その行為の商行為性や商人性の準用を否定した判断枠組みは、現代の商法・会社法上の「商人」該当性や事業性の判断においても参照され得る。
事件番号: 昭和39(オ)1097 / 裁判年月日: 昭和42年3月10日 / 結論: 棄却
漁業協同組合は、民法第一七三条第一号にいう生産者または卸売商人にあたらない。