配炭公団の有するコークス売却代金債権は民法第一七三条の短期消滅時効にかからない。
配炭公団の有する債権と民法第一七三条。
配炭公団法,民法173条
判旨
配炭公団は旧民法173条(現・改正前民法)に規定される「商人」には該当せず、その売却代金債権には2年の短期消滅時効は適用されない。
問題の所在(論点)
配炭公団が旧民法173条1号(現・改正前民法)に規定される「商人」に該当し、その売却代金債権について2年の短期消滅時効が適用されるか。
規範
旧民法173条1号にいう「商人」とは、営利を目的として自己の名をもって商行為をすることを業とする者を指す。営利目的を欠く公益目的の公法人は、商行為に該当する取引を行ったとしても、同条の「商人」には当たらない。
重要事実
配炭公団は、石炭の配分や需給の調整等を行うために設立された公法人である。同公団は、石炭の売却代金債権を上告人に対して有していた。上告人は、当該債権が「商人」の売却した産物の代金債権として、旧民法173条1号により2年の短期消滅時効にかかると主張して争った。
あてはめ
配炭公団は、石炭の需給調整という公的な目的のために設立された組織であり、営利を目的として活動する主体ではない。したがって、たとえ石炭の売却という商行為の外形を有する取引を行っていたとしても、営利性を欠く以上、民法が短期時効を定めた趣旨である「商人間の迅速な決済」を要する「商人」には該当しない。ゆえに、本件売却代金債権に2年の短期消滅時効の規定は適用されない。
結論
配炭公団は商人に該当しないため、本件債権は2年の消滅時効にかからない。
実務上の射程
現在は民法改正により短期消滅時効の個別規定(旧170条〜174条)は廃止されたが、「公法人が営利主体(商人)として扱われるか」という点は、商法の適用範囲や特別法の解釈において依然として重要な判断基準となる。
事件番号: 昭和34(オ)831 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
商品売買の継続的取引において、各月取引分がその翌月に決済される取り決めであり、この取り決めが殆んど例外なく実行されていたときには、各月の取引高に対する代金の支払に一部未済があれば、その未済部分は独立に消滅時効にかかるものと解すべきである。