時計の商品により周知著名となつている甲商標(D)と類似する乙商標の登録は、その指定商品中のライターが時計としばしば同一店舗で取り扱われるものであるという程度において関連性を有していたと認められる以上、これをライターに使用するときは、商品の出所につき混同を生じさせるおそれがあるものとして、ライターおよびその類似品につき無効とすべきである。
登録商標が商品の出所につき混同を生じさせるおそれがあると認められた事例
旧商標法(大正10年法律第99号)2条1項,旧商標法(大正10年法律第99号)16条
判旨
登録商標と他人の著名な商標が類似し、両商品が同一店舗で取り扱われるなどの関連性を有する場合、指定商品に使用することで商品の出所につき混同を生ずる虞があるとして、商標法4条1項15号(旧2条1項11号)に抵触する。
問題の所在(論点)
商標法4条1項15号(旧2条1項11号)の「混同を生ずる虞」の判断において、非類似の商品間であっても、商標の著名性や商品の販売態様の共通性を考慮して混同の有無を判断できるか。
規範
商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずる虞」がある場合とは、商標自体の類似性に加え、他人の商標が取引者・需要者の間に広く認識(周知著名)されており、かつ、対象商品と他人の業務に係る商品との間に、同一店舗で取り扱われる等の実態的な関連性が認められることにより、出所の誤信を招く客観的事態が存在することを指す。
重要事実
上告人の登録商標(ライター)と被上告人の商標(時計)は、称呼および観念において互いに類似していた。被上告人の商標を用いた時計は、本件登録当時において世界の高級時計として日本国内でも周知著名な存在であった。また、ライターと時計は、しばしば同一店舗で取り扱われるという商品上の関連性を有していた。
あてはめ
まず、本件登録商標と被上告人の商標は構成上類似している。次に、被上告人の商標は時計について国内で広く取引者・需要者に周知著名である。そして、ライターと時計は同一店舗で併売される実態があり、商品の流通過程において密接な関連性を有しているといえる。これらの事実を総合すれば、本件登録商標をライターに使用した場合、需要者はこれを著名な時計メーカーである被上告人の製造・販売に係る商品であると誤認する可能性が高いと判断される。
結論
本件登録商標は、被上告人の業務に係る商品と混同を生ずる虞がある商標に該当し、その登録は無効(または登録を認めない)とされるべきである。
実務上の射程
本判決(通称オメガ事件)は、商品自体が非類似(時計とライター)であっても、商標が周知著名であり、かつ流通過程に共通性がある場合には「混同の虞」を認めるという、広義の混同(出所混同)の法理を確立したものである。答案作成上は、単なる商標の類否判断にとどまらず、他人の標章の著名性や、営業態様の共通性といった具体的諸事情を相関的に考慮する際の規範として活用する。
事件番号: 平成10(行ヒ)85 / 裁判年月日: 平成12年7月11日 / 結論: 破棄自判
一 商標法四条一項一五号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、当該商標をその指定商品等に使用したときに、当該商品等が他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ…
事件番号: 昭和45(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和48年4月24日
【結論(判旨の要点)】商標法における商品類否の判断は、商品の外観、観念、称呼の類似性のみならず、取引の実情を考慮し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるか否かによって決定されるべきである。 第1 事案の概要:登録商標「Ω(オメガ)」を有する商標権者が、他者の使用する標章が自らの指定商品(ライター等)と類似する商品…