商標権者は、原登録商標の指定商品に類似する商品について、連合商標の商標登録を受けうる既得権を有するものではない。
商標権者は原登録商標の指定商品に類似する商品について連合商標の商標登録を受けうる既得権を有するか
商標法7条1項,商標法25条,商標法36条
判旨
連合商標の登録出願であっても、他人の登録商標及びその指定商品と類似する場合には商標法4条1項11号により登録が拒絶され、審査基準の変遷による既得権の主張は認められない。
問題の所在(論点)
他人の登録商標と類似する商標を自己の連合商標として出願できるか。また、審査基準の改定により商品の類否判断が変化した場合、旧基準に基づく既得権を主張して登録を求めることができるか。
規範
1. 連合商標の登録出願であっても、引用登録商標と商標及び指定商品において類似する以上、その登録は拒絶される。 2. 連合商標は原登録商標に付随するものではなく、それ自体独立の商標であるから、登録時において他人の登録商標等と同一・類似でないことを要する。 3. 商品の類否は、特許庁の定める審査基準にかかわらず、取引事情の推移に伴う変遷を考慮し、個別具体的に判断されるべきものである。
重要事実
上告人は、清酒等を指定商品とする登録商標「玉の光」の連合商標として「玉乃光」及び「玉光」を登録出願した。しかし、他人の登録商標「玉乃光」(指定商品:焼酎)が存在した。出願時の実務上の基準(類似商品審査基準)では清酒と焼酎は類似とされていたが、かつての基準(類似商品例集)では非類似とされていた。上告人は、旧基準に基づく既得権があるとして、新基準による拒絶を不服とした。
事件番号: 昭和34(オ)448 / 裁判年月日: 昭和35年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】商標の類似性判定において、過去に同一または類似の商標が併存していた事実があったとしても、現在の時点における類似性の認定を妨げるものではない。 第1 事案の概要:上告人は、自らの出願商標が引用商標と類似しないと主張して上告した。上告人は、出願商標の図形からは「トナカイ」または「鹿」の観念が生じるため…
あてはめ
本願商標「玉乃光」等は引用登録商標「玉乃光」と同一または類似であり、その指定商品である清酒等も引用商標の指定商品である焼酎と類似している(原審認定)。連合商標は独立の商標として登録要件を備える必要があり、登録の可否は「登録時」の状況で判断される。審査基準は便宜上のものにすぎず、取引事情の変遷により類否判断が変わり得る以上、旧基準を前提とした既得権は認められない。
結論
本願各商標は、他人の登録商標と商標及び指定商品において類似するため、商標法4条1項11号により登録を受けることができない。
実務上の射程
連合商標制度廃止前の判例であるが、商標の類否判断が登録時の取引実情に基づき動的に行われること、および行政上の審査基準が裁判所を拘束せず既得権も生じさせないことを示した点において、現行法下でも商品の類否判断や不利益処分における信頼保護の限界を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和38(オ)914 / 裁判年月日: 昭和41年2月22日 / 結論: 棄却
味淋、焼酎等の商品により世上一般に知られ著名化している甲商標と類似する乙商標の登録出願は、たとえその指定商品を食料品、加味品としたものであつても、その指定商品が甲商標使用の商品と同一店舗において取り扱われることが多いものと認められる以上、旧商標法(大正一〇年法律第九九号)第二条第一項第一一号にいう商品の誤認、混同を生じ…