「ヤグルト」または「YAGULT」の文字からなりまたはこれらを要部として構成される商標は、「ヤクルト」の文字からなりまたはこれを要部として構成される商標の連合商標として登録出願されたものであつても、判示のような事実関係のもとにおいては、これをその指定商品たる乳酸清涼飲料類または乳酸菌飲料(但し、ヨーグルトを除く。)に使用すれば、乳酸菌飲料たるヨーグルトとの間に商品の誤認を生ぜしめるおそれがあるものと認むべきである。
連合商標として登録出願された商標が商品の誤認を生ぜしめるおそれがあるとされた事例。
旧商標法(大正10年法律99号)2条1項11号,旧商標法(大正10年法律99号)3条
判旨
商標の称呼類似性は、語頭の差異があっても後尾の共通性や全体の語感から判断すべきであり、また、商品の品質誤認(商標法4条1項16号)の成否は、連合商標であっても当該商標自体について独立して判断される。
問題の所在(論点)
1. 「ヤグルト」と「ヨーグルト」が称呼において類似するか(旧商標法2条1項1号、現行4条1項11号参照)。 2. 連合商標の出願において、基本商標(ヤクルト)の周知性を考慮せず、当該商標自体から品質誤認の虞れ(現行4条1項16号)を判断すべきか。
規範
1. 称呼の類似性は、音感の最初における差異のみならず、余韻として強く印象に残りやすい後尾部分の共通性、全体の語感、および取引社会における混同の虞れを総合して判断する。 2. 商品の品質誤認を生ずる虞れ(商標法4条1項16号)の有無は、連合商標であっても基本となる商標とは独立して、当該商標自体について決定すべきである。
重要事実
上告人は、「ヤグルト」「YAGULT」「ニューヤグルト」「ネオヤグルト」等の商標(本願商標)を乳酸清涼飲料類等を指定商品として出願した。これに対し、普通名称である「ヨーグルト」と称呼が類似し、かつ指定商品に使用した場合に「ヨーグルト」と品質の誤認を生ずる虞れがあるとして拒絶査定を受けたため、その取消しを求めて提訴した。
あてはめ
1. 「ヤグルト」と「ヨーグルト」は、語頭の「ヤ」と「ヨー」に差異はあるが、いずれもヤ行の近似音である。また、後尾部分が同一であり、全体的な語感・印象は紛らわしく、簡易迅速な取引社会では混同の虞れがあるため、称呼は類似する。 2. 「ヨーグルト」は普通名称であるが、本願商標の指定商品とヨーグルトは目的・販売態様が共通しており、現に混同している消費者も存在する。連合商標は独立した内容を有するものであるから、基本商標「ヤクルト」が著名であり、新製品と認識される可能性があっても、本願商標自体が品質誤認を招く以上、登録は認められない。
結論
本願商標は「ヨーグルト」と称呼において類似し、かつ商品の品質について誤認を生ずる虞れがあるため、登録を認めないとした原審の判断は正当である。
実務上の射程
称呼類似の判断において語尾の共通性を重視した点、および品質誤認の判断において「連合商標の独立性」を明示した点に意義がある。現在の実務でも、周知な基本商標の存在が直ちに新商標の誤認混同を解消するわけではないという理屈として活用できる。
事件番号: 昭和38(オ)469 / 裁判年月日: 昭和42年5月2日 / 結論: 棄却
商標権者は、原登録商標の指定商品に類似する商品について、連合商標の商標登録を受けうる既得権を有するものではない。
事件番号: 昭和31(オ)312 / 裁判年月日: 昭和35年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】審決に明白な誤謬がある場合は更正により是正可能であり、それのみを理由に審決を取り消すことはできない。また、指定商品の主成分の略称から成る商標は、自他商品識別力を欠き、商標登録を受けることができない。 第1 事案の概要:上告人は「炭カル」という商標を指定商品「肥料」について登録しようとした。しかし、…