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上告期間経過後の申立であるとの理由で上告の申立を却下した決定に対する不服の申立が特別抗告の申立ではなくして再審抗告の申立であるとされた事例
民訴法419条ノ2,民訴法429条
判旨
不服申立書に名称や記載の不明確な点があっても、申立人の真意を汲み取って適切に解釈すべきであり、憲法違反の主張がなく裁判所に対する異議を内容とする場合は特別抗告ではなく再審抗告(異議申立て)として扱うべきである。
問題の所在(論点)
申立書の標題や記載が不明確な場合、裁判所はこれをどのように解釈すべきか。また、上告却下決定に対する不服申立てが憲法違反を理由としない場合、いかなる不服申立手段として取り扱うべきか。
規範
不服申立書の記載内容に明確を欠く点がある場合であっても、裁判所は申立の趣旨を善解して、その実質的意図を要約・解釈しなければならない。特に、憲法違反の主張を含まず、不服申立先が決定を下した裁判所自体となっている場合は、法が定める不服申立の手続き(再審抗告等)として適切に構成し、管轄を判断すべきである。
重要事実
申立人は貸金請求事件の控訴審判決に対し上告したが、郵便遅延により上告状の到達が上告期間を1日経過した。福岡高裁が上告却下決定をしたため、申立人は同裁判所宛に「抗告にかわる異議申立書」を提出した。申立書には憲法違反の主張はなく、郵便遅延という責めに帰すべからざる事由による期間経過であり、却下決定は違法であると主張していた。しかし、福岡高裁はこれを特別抗告と解して最高裁判所に送付した。
事件番号: 昭和61(ク)345 / 裁判年月日: 昭和62年7月2日 / 結論: その他
上告理由書提出期間内に上告理由書が提出されていたにもかかわらず、その提出がないと誤認して上告の申立を却下した決定に対する不服の申立は、特別抗告の申立ではなくして再審抗告の申立と解すべきである。
あてはめ
申立書は標題が「異議申立書」であり、宛名も福岡高裁であって最高裁ではない。その実質的な内容は、郵便遅延という特殊事情を調査せずに期間経過のみで却下したことの違法を問うものであり、憲法違反を具体的に主張するものではない。これを善解すれば、特別抗告ではなく、民事訴訟法(旧法)所定の再審抗告(決定に対する異議申立て)と解するのが相当である。再審抗告は当該決定をした裁判所の専属管轄に属するため、最高裁が審理するのではなく、福岡高裁へ移送すべきである。
結論
本件申立ては再審抗告と解すべきであり、専属管轄を有する福岡高等裁判所へ移送する。
実務上の射程
当事者が法律上誤った名称で不服申立てをした場合でも、裁判所が申立人の真意を「善解」して適切な訴訟手続に乗せるべきという実務上の指針を示す。司法試験においては、不服申立方法の選択を誤った事案における救済や、裁判所の釈明義務・合理的な意思解釈の文脈で使用できる。
事件番号: 昭和46(ク)436 / 裁判年月日: 昭和47年2月8日 / 結論: その他
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事件番号: 昭和25(ク)114 / 裁判年月日: 昭和25年10月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するか否かの判断の不当を理由とする場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人等が、最高裁判所に対し、民事事件に関する抗告を申し立てた事案。抗告の理由は、原決定における憲法判断の不当を指摘するものではなく、通常…
事件番号: 昭和26(ク)208 / 裁判年月日: 昭和26年12月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事事件においては憲法違反を理由とする特別抗告のみが認められる。最高裁判所に対する抗告において、旧民事訴訟法413条に基づく再抗告の規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案…