旧山口県会計規則(昭和六年山口県令第一一号)施行当時になされた山口県と私人との間の私法上の契約については、契約者が作成されなくても、契約の効力に消長をきたすものではない。
県の契約と契約書の作成
旧山口県会計規則(昭和6年山口県令第11号)30条,旧山口県会計規則(昭和6年山口県令第11号)31条,地方自治法234条5項
判旨
地方自治体が締結した土地売買契約は、当時施行の会計規則等に定める契約書の作成を欠き、また代金に充てられた寄附金が歳入として受け入れられていなくても、当然には無効とならない。
問題の所在(論点)
地方自治体が契約を締結する際、会計規則等に定める書面の作成や予算上の処理を欠いた場合、その私法上の契約は無効となるか。
規範
地方公共団体が締結する契約において、当時の府県制や会計規則等の内部的な手続(議会の議決、寄附金の歳入処理、契約書の作成等)の不備は、特段の事情がない限り、私法上の契約の効力そのものを左右するものではない。
重要事実
被上告人(山口県)は、上告人の先代Dとの間で本件土地の売買契約を締結した。しかし、当時の山口県会計規則が定める契約書の作成が行われていなかった。また、売買代金の支払に充てられた寄附金が県の歳入として適切に受け入れられた形跡がなく、予算調書にも上告人が主張するような記載が欠けていた。上告人側は、これらの手続的瑕疵を理由に売買契約の無効を主張した。
事件番号: 昭和28(オ)315 / 裁判年月日: 昭和29年7月16日 / 結論: 破棄差戻
臨時農地等管理令第七条ノ二の地方長官の許可は、農地の所有権移転を目的とする契約の有効要件ではない。
あてはめ
まず、当時の府県制下では、寄附を受けることについて府県会の議決は必要とされていなかった。次に、代金の原資となる寄附金が歳入として経理処理されていなかったとしても、それは自治体内部の会計上の問題に過ぎない。さらに、会計規則所定の契約書が作成されていない点についても、規則はあくまで行政内部の事務取扱いを定めたものであり、契約締結という私法上の行為を無効にする趣旨ではない。したがって、これらの手続の欠缺は契約の効力に影響を及ぼさない。
結論
本件土地売買契約は有効であり、手続上の不備を理由とする無効主張は認められない。
実務上の射程
行政主体の契約における「有効性」と「手続規定」の切り離しを肯定した判例である。現代の地方自治法・会計令下の事案でも、契約書作成(地方自治法234条5項等)の欠欠が即座に契約を当然無効とするかという論点において、行政内部の規定の性質を論ずる際の参考となる。
事件番号: 昭和35(オ)488 / 裁判年月日: 昭和35年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の売買における知事の許可は、売買による所有権移転の効力発生要件に過ぎず、売買契約そのものの成立要件ではない。したがって、農地売買契約の成立日は、知事の許可の日ではなく、現実に売買の合意がなされた日となる。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間で農地の売買契約が締結され、その後、当該売買に基…
事件番号: 昭和35(オ)604 / 裁判年月日: 昭和38年4月2日 / 結論: 棄却
一、自作農創設特別措置法により政府より売渡を受けた農地でも知事の許可または農地委員会の承認があれば、その所有権を他に移転できる。 ニ、昭和二六年一月二五日に締結された農地売買契約につき、所有権移転の時期を昭和三一年一月二四日とし売買代金額も実際と異つた額が許可申請書に記載されていたとしても、原判示のもとでは、右に対する…
事件番号: 昭和45(オ)890 / 裁判年月日: 昭和46年2月25日 / 結論: 棄却
抵当権の実行のための競売開始決定が所有者に対して送達されないかしがあつても、競落許可決定が確定すれば、右かしを理由として同決定の無効を主張することは許されない。
事件番号: 昭和35(オ)406 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
証人らが訴訟当事者の一方の妻あるいは妻の兄の関係にあるとしても、その一事によつて右証人らが証人能力を有しないとか、証言の証拠価値が薄弱であるとかは断定できない。