一、(省略) 二、裁判所が特定の申立についてするいわゆる立件は、裁判所の内部における事務処理上の手続にすぎないものであつて、それがその申立を審理した口頭弁論の終結後になされたときでも、その申立の訴訟法上の効力に影響を及ぼすものではない。
一、被控訴人が控訴審においてした書面による請求の趣旨変更の申立およびその申立書添付の物件目録訂正の申立が附帯控訴の申立と認められた事例 二、いわゆる立件の意義およびその効力
民訴法372条,民訴法374条,民訴法367条,民訴法150条,民訴法186条,裁判所法60条
判旨
控訴審における請求の趣旨変更申立てや物件目録の訂正申立てが、その実質において附帯控訴と認められる場合には、有効な附帯控訴の提起があったものと解される。また、裁判所内部の事務処理にすぎない「立件」の手続が遅延しても、申立て自体の訴訟法上の効力に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
「請求の趣旨変更申立書」等の名目による申立てが、実質的に附帯控訴としての効力を有するか。また、裁判所による「立件」の遅延が申立ての効力に影響を及ぼすか。
規範
不利益変更禁止の原則(民事訴訟法304条参照)の例外たる附帯控訴(同293条1項)につき、書面の名目にかかわらず、その実質が原判決の変更を求める趣旨であれば附帯控訴として認められる。また、附帯控訴の提起は訴訟行為としてなされれば足り、裁判所による内部的な事務処理である「立件」は、当該申立ての効力発生要件ではない。
重要事実
控訴審において、被上告人(一審原告)が「請求の趣旨変更申立書」および「準備書面による物件目録訂正申立書」を提出した。これらの書面は実質的に一審判決の変更を求めるものであったが、裁判所における事務処理上の立件手続が遅れた。上告人は、これらの申立てを有効な附帯控訴と認めた原審の判断を違法であると主張して上告した。
事件番号: 昭和45(オ)625 / 裁判年月日: 昭和45年12月4日 / 結論: 棄却
第一審において原告の請求が全部認容されたが、その控訴審において請求が減縮された場合において、原告の請求を相当とし、被告の控訴を理由がないと判断するときは、実質的に債務名義として有効に存続する部分を明確にするため、控訴判決の主文において、控訴を棄却したうえ、第一審判決を訂正し、減縮後の原告の請求自体につき認容する判決をす…
あてはめ
被上告人らが提出した請求の趣旨変更等の申立ては、その実質において原判決の変更を求める附帯控訴(旧民訴法372条)の要件を具備している。また、方式の点においても法定の方式(旧民訴法374条等)に違反せず、上告人も異議を述べていない。さらに、立件は単なる内部の事務処理手続であり、その遅延は前提となる申立自体の効力を左右しない。したがって、これらの申立てを有効なものとして本訴請求を認容した原審の判断に違法はない。
結論
請求の趣旨変更等の申立ては有効な附帯控訴として認められ、裁判所の立件手続の遅延によってその効力が妨げられることはない。
実務上の射程
訴訟行為の解釈において名目よりも実質を重視する姿勢を示すものである。答案上は、附帯控訴の方式の適否が問題となる場面で、当事者の合理的な意思解釈を導く根拠として活用できる。また、裁判所の事務上の不手際が当事者の訴訟上の地位を損なわないという一般原則の確認としても重要である。
事件番号: 昭和42(オ)1134 / 裁判年月日: 昭和43年4月26日 / 結論: 棄却
第一審において訴の変更による新訴の提起がされた場合において、新訴のみにつき判決がされたときは、旧訴は取り下げられたか、請求の放棄がされたか、またはなお第一審に係属するかのいずれかであり、旧訴につき第二審が判断を加えないのは相当である。
事件番号: 昭和42(オ)912 / 裁判年月日: 昭和46年7月20日 / 結論: 棄却
建物買取請求権およびその代金との引換給付を求める者の抗弁を第一審の最終口頭弁論期日および原審の第一回口頭弁論期日にいたつてはじめて提出した場合においても、当時賃貸人たる原告と訴外甲との間に別訴で係争土地の所有権の帰属が争われており、右抗弁を提出した被告らが甲から本件土地を賃借した旨主張して争つていた事情があるときは、被…
事件番号: 昭和44(オ)1165 / 裁判年月日: 昭和45年2月27日 / 結論: 棄却
賃貸人が、借地上の賃借人所有の建物に対し占有移転禁止等の仮処分を執行したことにより、賃借人の借地の使用収益を妨げたとしても、そのために借地法一二条に基づく賃料増額請求が許されなくなるものではない。
事件番号: 昭和39(オ)573 / 裁判年月日: 昭和40年12月2日 / 結論: 棄却
訴の変更があつた場合においては、従前の訴訟資料はそのまま引きつがれると解するのが相当である。