特定土地の引渡を求める訴訟の判決に添付された目的土地の実測図に基点が脱落していても、それが土地の範囲、所在について当事者間に争いのない被告提出の準備書面添付の測量図に基づいて作成されたもので、右測量図によれば基点の所在が明らかで、判決添付図面を作成する際、基点の記載を脱落したにすぎないときは、更正決定をすれば足り、主文不特定の違法はない。
特定の土地の引渡を求める訴訟の判決に添付された目的土地の特定のための実測図に基点が脱落している場合と主文の特定の有無
民訴法191条,民訴法194条
判旨
農地の買主は、売主に対し農地法所定の許可申請手続への協力請求権を有し、当該権利を保全するために債務者に属する権利を代位行使できる。また、売主の許可申請協力義務は、目的土地の分筆の効力いかんにより左右されない。
問題の所在(論点)
1.農地の転得者は、原買主が売主に対して有する農地法上の許可申請手続協力請求権を被保全権利として、債権者代位権を行使できるか。2.売主の許可申請協力義務は、目的土地の分筆の効力によって影響を受けるか。
規範
1.農地の買主は、売主に対して農地法所定の許可を求める権利を取得し、当該権利を被保全権利として、債務者に属する権利を代位行使(民法423条1項)することができる。2.農地の売主は、契約上の義務として許可申請手続に協力する義務を負い、この義務は事後になされた目的土地の分筆の効力いかんによって左右されない。
重要事実
上告人らの先代Dは、訴外Eに対し本件農地を売り渡した。その後、被上告人はEから本件農地の贈与を直接受けた。被上告人は、Eに対する贈与に基づく権利を保全するため、EがDに対して有する農地法上の許可申請手続協力請求権を代位行使しようとした。これに対し上告人らは、目的土地の分筆の効力等を理由に、許可申請協力義務の存否を争った。
事件番号: 昭和38(オ)1044 / 裁判年月日: 昭和39年6月9日 / 結論: 棄却
農地につき知事の許可なくして為された売買契約でも、その後該農地が適法に宅地化されたときは、そのときから当然効力を生ずると解すべきである。
あてはめ
1.農地の売買において、買主は売主に対し許可申請手続を求める権利を有する。被上告人はEから贈与を受けた者であり、EがDに対して有するこの協力請求権を保全する必要があるため、代位行使が認められる。2.売主Dの協力義務は売買契約から生じる法的義務である。事後に目的土地の分筆がなされたとしても、その分筆手続の有効性は契約上の協力義務の本質に影響を与えないため、上告人らは協力義務を免れない。
結論
被上告人による許可申請手続協力請求権の代位行使は認められる。また、土地の分筆の効力にかかわらず、売主側は許可申請手続に協力する義務を負う。
実務上の射程
農地の二重譲渡や中間省略的な移転が行われる事案において、最終的な取得者が中間者の有する許可申請協力請求権を代位行使する際の根拠として活用できる。また、許可申請義務が物権的変動(分筆等)とは切り離された契約上の義務であることを強調する際にも有効である。
事件番号: 昭和39(オ)183 / 裁判年月日: 昭和41年9月20日 / 結論: 破棄差戻
一たん適法に提出された農地法第五条所定の知事に対する許可申請書が、原判決判示(本判決理由参照)のような実際上の理由から便宜的に返戻され、手続上は申請の任意撤回として処理された場合には、いまだ売買の法定条件不成就が確定したものとはいえず、売主は、再度許可申請手続をして知事の正式な許否の処分を求めることに協力する義務を免れ…
事件番号: 昭和31(オ)1020 / 裁判年月日: 昭和34年2月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の所有権移転を目的とする売買契約において、知事等の許可が得られることを条件とする契約は有効であり、売主は許可申請に協力すべき義務を負う。 第1 事案の概要:農地の所有権移転を目的として、知事の許可を条件とする売買契約が締結された。その後、売主側が当該契約の有効性や、許可申請への協力義務の有無に…
事件番号: 昭和38(オ)40 / 裁判年月日: 昭和38年9月20日 / 結論: 棄却
債務不履行により農地の売買契約を解除する場合には、農地法第三条の適用がない。