賞与協定中に欠勤控除条項として、欠勤一日につき一率分賞与の一五〇分の一を控除する(遅刻、早退は三回をもつて欠勤一日とする)旨の定めがある場合に、右条項に基づきストライキによる不就労の日数に応じて賞与から控除することは、労働組合法七条一号に違反しない。
賞与協定中の欠勤控除条項に基づきストライキによる不就労の日数に応じて賞与から控除することが労働組合法七条一号に違反しないとされた事例
労働組合法7条1号,労働基準法24条1項
判旨
ストライキによる不就労を賞与の欠勤控除の対象とすることは、不就労分に相当する賞与債権が発生しないことを定めたに過ぎず、労働基準法24条1項及び労働組合法7条1号には違反しない。
問題の所在(論点)
1. 賞与協定上の「欠勤」にストライキによる不就労が含まれるか。 2. ストライキによる不就労分を賞与から控除することは、労基法24条1項の全額払原則に違反するか。 3. 右控除は労組法7条1号の不利益取扱いに該当するか。
規範
労働者がストライキを行い現実に不就労となった場合、特段の合意がない限り、使用者は「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づき、不就労分に対応する賃金支払義務を負わない。賞与協定において欠勤等の不就労を賞与額の算定における消極的要件(控除条項)として定めている場合、その適用によって不就労分に相当する額を控除することは、賃金の全額払原則(労基法24条1項)に抵触せず、また正当な争議行為に対する不利益取扱い(労組法7条1号)にも該当しない。
重要事実
上告人ら(労働者)が所属する労働組合と会社との間の賞与協定には、「欠勤一日につき一率分賞与の一五〇分の一を控除する」旨の欠勤控除条項が存在した。会社は、労働者が行ったストライキによる不就労を、右条項の「欠勤」に該当するとして、ストライキの日数に応じた額を賞与から控除した。これに対し、労働者側が、控除条項はストライキを含むものではないこと、仮に含まれるとしても労基法24条1項(全額払)や労組法7条1号(不利益取扱い)に違反すると主張して争った。
あてはめ
1. 本件賞与協定の欠勤控除条項における「欠勤」には、性質上、ストライキによる不就労も含まれると解するのが相当である。 2. 控除条項は賞与債権発生の消極的要件を定めたものであり、不就労分についてはそもそも具体的な賞与債権が発生しない。したがって、発生していない債権を支払わないことは、既発生の賃金を控除するものではないため、労基法24条1項の問題は生じない。 3. 正当な争議行為による不就労に対し、単に労働の供給がなかったことに対応する賃金を支払わないことは、経済的対価を失わせるに過ぎず、労組法7条1号が禁じる不利益取扱いには当たらない。
結論
ストライキによる不就労分を賞与協定に基づき控除することは適法であり、労基法24条1項及び労組法7条1号のいずれにも違反しない。
実務上の射程
実務上、ストライキ等の不就労を理由とする「不就労分に比例した減額」は原則として適法とされる。ただし、不就労分を超えて賞与を減額したり、ストライキ参加を人事考課で過度に不利に評価することは、別途不利益取扱い(労組法7条1号)や公序良俗違反(民法90条)となり得る点に注意が必要である。答案上は、賃金請求権の発生要件の問題として整理し、ノーワーク・ノーペイの原則を基礎に論じる。
事件番号: 昭和51(オ)1273 / 裁判年月日: 昭和56年9月18日 / 結論: 破棄自判
ストライキの場合における家族手当の削減が昭和二三年ころから昭和四四年までは就業規則の規定に基づいて実施されており、その後右規定が削除され同様の規定が社員賃金規則細部取扱のうちに定められてからも従前の取扱が引続き異議なく行われてきたなど、原判示の事実関係のもとにおいては、ストライキの場合における家族手当の削減は労使問の労…